観光地「外国人居留地」などでCO2排出実質ゼロをめざす

【住】個人の取り組みだけでなく、自治体や企業の取り組みはどうなっているのでしょうか。
【平】県内の自治体では現在14の市町が「ゼロカーボンシティ宣言」をして、様々な施策を展開しています。
このうち長崎市と雲仙市の事例をご紹介します。

長崎市は、歴史的建造物が多い「東山手・南山手地区」と「稲佐山から見える夜景ランドマーク施設群」を対象に “観光” と “カーボンニュートラル”を絡めた取り組みを行っています。

長崎市ゼロカーボンシティ推進室 吉田雅文室長:
「東山手、南山手といった『外国人居留地』が世界にも知名度が高いですし、もう1つの大きな観光資源として『世界新三大夜景』が長崎のシンボルです。
(明かりを)LEDに変えたりですとか、空調を『省エネ型』にしたり『省エネ家電』に変えたりして(使用する)電気量を徹底的に減らした上で、最後『どうしても使う部分』をCO2ゼロの『再エネ電力』に切り替える。
観光客の方に選んでいただける、ひいては観光産業の活性化につながるようなストーリーを考えて(います)」

このエリアは国の『脱炭素先行地域』に選定されていて、2030年度までにCO2排出実質ゼロを目指しています。
総事業費およそ35億円のうち、3分の2にあたる23億円を国が補助し、残りの5億は長崎市が負担します。

間伐材などを使った「バイオマスボイラー」つかい肥料を生産

雲仙市はCO2排出量削減を目的に重油の代わりに木のチップを燃料とする「木質バイオマスボイラー」を市の環境センターに導入しました。

チップには地元の森林組合が出す間伐材や建築物の廃材などが使われていて、燃やした熱を利用して肥料の発酵を促しています。重油ボイラーと比べてCO2排出量を年間で289.1トン削減できる見込みです。

【平】「脱炭素先行地域」の選定は、“歴史・文化” と “観光” に『脱炭素』を融合させた取り組みが国にも評価されているということです。

【住】インバウンド客も増えてくる中、カーボンニュートラルの取り組みをうまくPRできれば、環境への関心が高い外国人を呼び込むことにもつながるかもしれませんね。
【平】そうですね。是非、この取り組みがそういう人々に届いて欲しいですね。次に民間企業です。