「口唇口蓋裂は関係ない」認められない次世代被害
岩村さんが亡くなった3カ月後の2025年6月14日、福岡で行われた三者協議の場。そこで全国油症治療研究班は従来の見解を覆し、「子どもの口唇口蓋裂と油症との間に関連があるとは言い難い」と発表しました。
口唇口蓋裂は、生後4カ月で亡くなった岩村さんの長男、満広ちゃんが抱えていた症状の一つでもありました。
発覚から57年。昭和の食中毒は世代を超えるという最も残酷な形で未だ続いています。

【カネミ油症事件】
1968年発覚。市販の「米ぬか油」に製造過程で化学物質・PCBが混入して起きた。PCBの毒性は当時知られておらず、国も使用を認めていた。PCBは加熱によって猛毒のダイオキシン類に変化していたことが後にわかった。ダイオキシン類を完全に体内から排出する方法は見つかっていない。
さらにダイオキシン類はへその緒や母乳を通して子供にも移行、「黒い赤ちゃん」と呼ばれた色素沈着のある子どもが生まれた。しかし、多くの油症二世は「認定基準」の壁によって被害者と認められていない。











