自殺しようとした母…その時
直美さんの娘、そして千代子さんの孫、哉美さんも、この日一緒に城山小学校を訪れました。哉美さんは生前、祖母千代子さんから家族を失った苦しみと共に、自ら命を絶とうとしたことがあることを聞いたと言います。

吉福哉美さん:
「家族が亡くなった後、祖母は一度、海に身を投げようとしたことがあったらしいんです。その時に母がまた泣いたそうで…。それで我に返って自分は助かったんだという話を私聞いたことがありました。祖母と母の…何というのか私たちの親子にはない『親子の絆』といいますか、2人だけだったからこその絆はすごく強くて。祖母はたぶん母がすべてだったんじゃないかな。孫より娘、というのはすごく感じてたんですよね。祖母と母が生きてくれてたから私がいて、娘がいま2人いるんですけど、みんな感謝して生きてます」

あの日を生き抜いた赤ちゃん。80歳になった江頭直美さん。亡くなった4人の子どもの分まで、母親は直美さんにたくさんの愛を降りそそぎました。
被爆から80年ー。奇跡的に生き抜いた母と娘の人生が、戦争の苦しみと命の尊さ、そして人の優しさと強さを伝えています。