被害は世代を超えている…親たちの苦悩
1968年に発覚した「カネミ油症」は、市販の油に化学物質・PCBが混入して起きた食中毒です。PCBやPCBが熱変性したダイオキシン類を体から完全に排出する方法は見つかっておらず、胎盤や母乳を通して子どもに移行したケースも確認されています。

認定患者の子どもと孫を対象にした次世代調査では、これまで先天的な口唇・口蓋裂の発生率が高く、歯の異常を訴える人が多いことが示されてきました。しかし研究班は24日、「現時点で油症との因果関係に言及することは難しい」との考えを示しました。
今後の議論で、救済の根拠となる新たな解釈が示されるかが注目されます。
医療費「約束できない」
翌日には同じ福岡市で、被害者、国、原因企業のカネミ倉庫による三者協議が開かれました。

認定患者の医療費を負担しているカネミ倉庫は、昨年度患者983人に対し9千700万円あまりを支払ったと報告しました。
一方、今後患者が大幅に増えた場合「必ず医療費を支払えるか約束できない」と発言し、世代を超えて続く食中毒の被害補償を一企業が担い続ける限界に言及しました。

カネミ油症関東連絡会・鈴木文史朗さん:
「不安でしかない」
油症被害者関西連絡会・曽我部和弘さん:
「一番大きな問題ですよね。何とかカネミ倉庫さん潰れないように頑張ってくださいというのもおかしい話なんですけど」
カネミ油症は根本的治療が見つからないまま次世代にまで影響を及ぼす甚大な被害でありながら、あくまで「食中毒」と位置付けられており、国は被害者への直接的な支援を行っていません。
発覚から57年、カネミ油症は被害認定と共に補償のあり方についても大きな課題となっています。