母ちゃんここにおるー!!
「私の家にあった《オルガン》で低い方の音を出してね、B-29のエンジンの音を真似てたんです。”ウーウーウー”ってそれを台所にいたおばあちゃんが聞いて飛んできてね『やめなさい!』って言ったんですよ」

『アメリカのB29が飛んできてると間違うけんで、やめなさい』って言われて弾くのをやめて蓋を閉めて立ち上がろうとした瞬間にピカッ!と…それがちょうど11時2分だった」
「ピカッと来た瞬間にね耳と目を抑えて僕はオルガンの前にパッと伏せたんです。しばらくしたらねドーンと鈍い音がした。何秒もしないうちにものすごい爆風が私の家の中を一気にねウワーっと吹き抜けていった」
「『ああ10歳で俺の命は終わりかな』と思ってね。とにかく黙ってたら静かになった…。部屋の中を見渡したら滅茶苦茶、ふすまとか柱とか壁にねガラスの破片がいっぱい刺さってるわけなんですよ。一体全体どうしたことやろうと」

「風呂場で洗濯していた私の母が子どもたちを呼び始めたんです『どこにおるねー!返事しなさい!返事しなさい!』もう滅茶苦茶呼んどるわけです『母ちゃんここにおる―!!』て言ってからね私も母に一生懸命答えとるわけさ」
「(母が)『全部助かったぞー』って言ってね。母ちゃん助かってよかったねって、僕たちはわー!っとね泣いた記憶があるんです」








