《設備投資》よりも《財務体質強化》を優先した結果
【住】日本経済の実力は、海外と比べてどうなんでしょうか。
【平】実質実効為替レートの推移を見ると良く分かります。「実質実効為替レート」とは、貿易量や物価水準を基に算出された総合的な通貨の購買力を測る指標です。一般的には通貨の「実力」や「実質的な価値」などとも言われます。

1990年代をピークにトレンドとしては下がり続けています。指数でみると、ピークの3分の1程度まで下がっています。これは《円の購買力》つまり《日本の国力》が大きく落ちているということを示しています。
【住】急激な円安が進む前の2020年頃と比べても、3割くらい下がっていますね。
【平】経済が拡大していない状況では、金利を上げていくことは難しく、円安の修正は、米国などの金利の引き下げを待つという《他力本願》になってしまいます。
やはり、自国通貨を強くするためには、自国経済を強くする必要があるのですが、日本は去年、名目GDPがドイツに抜かれ世界4位に後退しました。
【住】なぜドイツは成長できたのでしょうか。
【平】官民の取り組みが功を奏し、工場の生産性が向上したのが一因との見方があります。その一方で日本は《生産性の向上》を行ってきたのかということですが、日本の設備投資は他国と比べると伸びていません。
伸び率が諸外国より低いことは政府も認識しています。これは、いわゆる「失われた30年」において、企業は《設備投資》よりも《財務体質強化》を優先していた感があるということです。
さらに研究開発費が伸びていないことも問題になっているんですが、そんな中でも研究開発の分野で県内に拠点を築く企業がいくつもあります。