エサの量は適切か──いけす内の魚の大きさ・重さをデータ化

この日は実際に生け簀にカメラを入れて魚を撮影しました。泳いでいるのは出荷まで1年以上かかるゆうこうシマアジ。いま生後およそ10か月です。

自動給餌器で1日15回エサをまいていますが『魚が食べる量』に対して多いのか、 少ないのか──今は判断が難しくロスも少なくありません。これを減らすには魚の成長をデータ管理し、それに合わせてエサの量を調整する必要があります。

カメラの映像をもとにAIは正確な数値を割り出せるのか──


まずは現場で実際の魚の重さと大きさを測ります。網ですくいあげたサンプル魚の重さは510g、体長は28センチでした。

昌陽水産 山口繁隆さん:
「今、何グラムっていうのもAIで分かるので、それに合わせて餌やりの仕方も変わると思うんですよね。自分たちで事務所で『きょう何匹死んどったとか、今、何匹おる』っていうのは把握しているんですけど、実際に(網で)すくってみたりとかしないと数はしっかり分からないんですね。(AIシステムができると)ありがたいですね」


《AIによる画像分析》の前に、人間が《画像データから魚のサイズと重さ》を推定し《実測値》と差がないかどうかを確認しました。

井場辰彦さん:
「いけすで実際に測っていただいたのが、だいたい《26センチ~30センチ弱》だったんですけど、(画像で推測すると)この魚が《26センチぐらい》、この魚は《29センチぐらい》という結果だったので、そこまで外れてないんじゃないかなと。
このあとは《AIで動画を全量チェック》して、平均をとってみてどうか、っていう感じです」



このシステムでAIは《10分間の動画》をもとに《約300匹の魚》を分析しました。結果、AIは《体重500gほどの個体が最も多く、体長は平均で約28センチ》と算出し《実測値》とほとんど差がないことが分かりました。