特集は、焼酎造りを学ぶベトナム人男性に注目します。
今年、えびの市の酒造会社に就職した男性。夢は、母国・ベトナムでの焼酎会社設立です。
歴史が長い会社は経験と技術を持っている

創業131年を迎えるえびの市の明石酒造。
芋焼酎「明月」などを製造、販売しています。
ここに今年入社したのが、ベトナム人のディン・ティエン・ズンさん、27歳です。

(ディン・ティエン・ズンさん)「結構明石酒造の歴史が長いから、歴史が長い会社は経験と技術を持ってると考えて入りました」
ズンさんは、21歳の時、べトナムから宮崎市の南九州大学に留学。

食品製造を学び、その後、大学院では、焼酎について研究しました。
(ディン・ティエン・ズンさん)「焼酎の発酵は酵母とか関係あって、温度の関係とか温度が変わるとまた焼酎に変わるとか、いろんな原料があっていろんな焼酎ができるとかそれが面白いと思って」
ズンさんに焼酎のいろはを教えているのは、杜氏の明石常務です。

(明石酒造・明石太暢常務(杜氏))「今は、これ熟成中の焼酎なんですけど、これをかき混ぜることで、香りを華やかにしたりとか、口当たりがまろやかになるっていう作業ですね」
(記者)「ズンさんの手さばきはいかかがですか?」
(明石常務)「まだまだ全然ですね」
(ディン・ティエン・ズンさん)「慣れてないからちょっと難しいですね」
そして、焼酎造りをする上で欠かせないのが、品質を見極める「利き酒」。
ズンさんも徐々に香りの違いがわかるようになってきたそうです。
(ディン・ティエン・ズンさん)「なんかフルーティですね柑橘系、オレンジみかんで」
(明石常務)「でもちょっとまだ、若い香りが、こげたような香りがするね」
続いて、口に含み味わいを確認します。

(ディン・ティエン・ズンさん)「前回(の利き酒)に比べて結構甘くなりましたね。だから熟成して変化していると思います」
(明石常務)「ばっちり、ばっちりです」

(明石常務)「いろいろ興味を持って、質問もしてくるし、こっちが教えたこともちゃんと覚えてるし、すごく熱心だし社員のみんなも刺激をもらってると思います」
(ディン・ティエン・ズンさん)「今の仕事はある程度慣れてきましたね。会社のメンバーはいつも丁寧に教えてくれますね。感謝してますね」
ベトナムの農作物の原料を利用して焼酎メーカーを作りたい
明石酒造に入社しておよそ3か月。
ほかのスタッフとも仲が良く、笑顔が絶えません。
この日は、最近、明石酒造にできたフットサルチームの話題に・・・
(ディン・ティエン・ズンさん)「ゴールキーパー・・・」
(先輩)「しないっていってんじゃん、いやただ単に体がでかいからゴールキーパーが似合うっていじってくるんですよ。自分を」
ベトナムから日本にきておよそ6年になるズンさん。
離れて暮らす家族とも週に3回ほどテレビ電話で話しています。

(母・ズエンさん)「1人暮らしで、日本の会社で働いて、大変だけど、いつもしっかり勉強の気持ちを持ってしっかり勉強して頑張ってください(と言っている)」
そんな、ズンさんには夢があります。
(ディン・ティエン・ズンさん)「将来はベトナムに帰って、明石酒造で(学んだ)焼酎づくりの知識を生かして、ベトナムの農作物の原料を利用して焼酎メーカーを作りたいです」

ベトナムでも多くの人が飲むという焼酎。
しかし、ベトナム国内では原料となるイモなどは栽培されていても焼酎会社は少ないということです。
(明石酒造・明石太暢 常務(杜氏))「ベトナムを代表する焼酎メーカーになっていただければ私は嬉しいです」
(ズンさん)「はい、頑張ります」
焼酎に魅了され日々奮闘する、ズンさん。
母国での焼酎会社設立を目指してこれからも腕を磨きます。