新型コロナとインフルエンザの同時流行。その実態はどのようなものなのか、現場の医師に話を聞きます。石川県野々市市のクリニックで診療を続ける中澤佑介医師に伺いました。

まず新型コロナをめぐっては、今年5月に5類へ移行して状況が大きく変わりました。当初、新型コロナの治療は公費で全額負担され患者は無料でしたが、現在は原則自己負担です。ワクチン接種は、今年度中も無料となっています。また感染した場合でも、感染者や濃厚接触者の外出制限はなくなりました。療養期間の目安については季節性インフルエンザと同様、厚生労働省が発症翌日からの5日間、かつ症状が軽くなってから24時間経過するまでを推奨しています。

新型コロナ・インフルエンザの診療続ける


Q 新型コロナが5類へ移行してから4か月余り、振り返ってみてどうでしたか?
中澤佑介 医師
「まずは濃厚接触者というのがなくなったのが1つの特徴。コロナウイルス自体が変わったわけではないけど“コロナは終わった”という認識の患者が増えている。あとは検査が自己負担になっているので、患者自身で市販のキットを使って陽性の場合に受診するという形に変わっている」

石川県内のインフルエンザ患者の推移

また、この夏はインフルエンザも流行しています。石川県によりますと、今月17日までの1週間でインフルエンザと診断された人は1医療機関あたり2・81人で前の週の1・7倍となり、3週連続で増加しています。

今月に入って県内では公立高校を中心にインフルエンザとの診断を受けた、あるいは38度以上の発熱などで欠席する生徒が増加。「集団かぜ」が発生したとして、学級閉鎖や学年閉鎖の措置が相次ぎました。

Q クリニックでもインフルエンザの患者が増加している実感はありますか?
中澤佑介 医師
「きのうは1日で発熱患者が16人受診されたけど、このうち8人がインフルエンザで、7人がコロナウイルスに感染していた。修学旅行・文化祭・運動会という社会活動の結果、感染が拡大している印象がある」

同時検査キット


Q 新型コロナとインフルエンザの症状は似ているため、1人の患者に対し複数の検査が必要となり、このことが現場で負担となっていると聞くが?
中澤佑介 医師
「クリニックでも取り入れているがインフルエンザとコロナが一緒になった市販の検査キットがある。そういったキットを使えば負担は減る。ただ感染症の概念が変わっていて、発熱した人が間違って入ってきてしまうこともあるので、その際の対応などは難しい」

Q 新型コロナとインフルエンザ、両方同時にかかった患者もいますか?
中澤佑介 医師
「過去に3~4人くらいいる。インフルエンザ単体やコロナウイルス単体の人と比較すると、やはり混合感染の人は倦怠感が強かったりなかなか熱が下がらないので見た目の印象にはなるが、しんどそう」

ところで、新型コロナウイルスをめぐっては公費支援策が段階的に縮小されている現状があります。厚生労働省は新型コロナウイルスの高額な治療薬について、10月1日以降、最大で9000円の自己負担を求めることを明らかにしました。

図に示すとこのようになります。

10月からコロナ治療薬に患者負担も


Q このことについてはどう受け止めていますか?
中澤佑介 医師
「今までは公費負担だったので、患者への適応があれば薬が使える状況だった。若い未就学児は公費負担があるので薬は使えるが、やはり働き盛りの人が症状を早く治して仕事復帰したいと思っても9000円となると薬を飲まない。インフルエンザの薬が保険負担で1800円前後なので、そのくらいの金額で患者に普及されるのが一番望ましい」

Q この時期に注意点など何か呼びかけがありますか?
中澤佑介 医師
「やはり手洗いやうがい、マスクの着用の感染対策は有用だと思っている」