自立をめざすだけが全てじゃない
診察を受ける50代のAさんです。
精神科医 中本理和さん
「たばこの禁断症状は?」
Aさん
「来るかもしれない…」
精神科医 中本理和さん「どうするの?」
Aさん「…水飲む」
Aさんは発達障害に加えて糖尿病を患い視野も狭くなっています。
精神科医 中本理和さん
「(たばこに)お金使っちゃって当たり散らす、人のせいにするというのを何千回も…!」
厳しい口調ながらも、中本さんは愛情をもって何度も“自己責任”について教えました。すると、Aさんは「健常者になりたい」と話すようになったそうです。
精神科医 中本理和さん
「ずっと障害者、障害者言われて困ったちゃん扱い。それは嫌やって。普通に皆みたいに一人前に扱ってほしい。せっかく健常者になろうって頑張ってるもんね…ぜひ続けてほしい」
こちらのグループホームでは入居者に限らず、外来診療も行っていて発達障害や引きこもりで診察に訪れる人は増えているといいます。
精神科医 中本理和さん「たいていは人のせいにしている。周りが悪い環境が悪い何が悪い…だから自分のせいじゃない。そりゃそう、そういう部分もあるけど、たしかに。それでもやっぱり自分で何とかしなきゃいけない」

「前回のおさらいから始めます」
月に一度開かれる入居者ミーティング。入居者同士が助け合って暮らすため、この場で要望を聞いたり新しいルールを作ったりしています。平口さんも、Aさんに優しく声をかけます。
平口さん「何か困ったら呼んでください」
精神科医 中本理和さん「その代わり困ってたら助けてあげんなんよ、わかる?」
Aさん「…」
世話人「私も困ったら助けてね」
この日のミーティングでは
・喫煙場所を守ることと
・来月みんなでバーベキューすることが決まりました。
精神科医 中本理和さん
「親身になって世話してくれる人がいるのを受けて、やっぱりみんな少しづつ明るくなっていく。楽しいって言ってくれる時もある。何とか、生きてて良かったねという気持ちにしたい」
ただ“生きることが楽しい”と思ってほしいという中本さん。周囲のサポートを必要とする大人もいる。このことをまず理解するのが、彼ら彼女らの人生を後押しする第一歩です。