今週、岸田総理が電撃訪問したウクライナ。
ロシアによるウクライナ侵攻から1年が過ぎ、いまだ停戦の見通しは立っていません。こうした中、国による現地への支援だけでなく、国内のウクライナ避難民に対する継続的な支えも欠かせません。
石川県内でも20人が避難生活を送る中、避難民に無償で住居を提供しつづける支援者がいます。
金沢市の寺山あかねさんです。
◆寺山あかねさん
「遠いウクライナにいる人たちに、私何もできないんです。何もできないんだけど、縁あって金沢の私の手の届く地域に来てくれたということにまずご縁を感じて」

寺山さんはロシアのウクライナ侵攻を知った去年2月、避難民が来日する話を聞き住居の無償提供をしたいと石川県に申し出ました。
建築家の寺山さん、郵便局だった建物を自らリノベーションしてカフェを開くほか、アパートなどの不動産経営をしています。
◆寺山あかねさん
「まずは安心して住めるところがあるというのは必要かなとすごく感じましたね」
ウクライナ東部ルハンスク州のセベロドネツクから避難し、寺山さんが無償で貸し出すアパートで去年11月から生活するのはオレナ・ミロツカさんです。ウクライナでは住まいが戦闘で破壊され、母親は避難所で亡くなりました。

◆オレナ・ミロツカさん
「日本に来たときに、まるで自分が根っこを引きぬかれてしまった木のような気持ちでした。心の中から叫んでいるような気持ちです。」
寺山さんは若い頃、建築家を目指してアメリカやイタリアなどに海外留学した経験がありました。高校時代にホームステイ先で2年もの間、無償で住まいと食事を提供してもらった経験があります。
◆寺山あかねさん
「(留学先で)地域の人が気にかけてくれるのが、受け入れてくれたかもぐらいの感じなんですけれど、受け入れられるってすごい感覚ですね。知らない人に。それは日本ではあまりなかった感覚なので向こうへ行くまでは。」
言葉が通じない異国の地で、不安な気持ちがあった寺山さん。自らの経験を踏まえ、受け入れてくれた人たちへ恩返しをしたいと支援を思い立ちました。

◆寺山あかねさん
「自分にできることをする機会を与えてくれたことに私は心から感謝しているんです。」
紛争の長期化が予想される中、さらなる避難民への理解と支援が望まれています。
◆石川県国際交流課 針木江津子課長
「現在は12世帯20人の方が石川県に来られています。小さいお子さんから年配の方まで、年代的にも幅広いですし、こちらに来られた経緯もみなさんバラバラではあるんですけれども、関心を持ち続けていただきたいなと思います。」
寺山さんは、オレナさんの友人の息子で日本に避難してきた18歳のレフ・オフリメンコさんにも住居を提供しています。
普段は、オレナさんたちに静かな日々を過ごしてほしいとの配慮から、あえて少し距離を置くように接しているとのことです。

こうした温かい人と人とのつながりが、平和を引き寄せる力につながるのではないでしょうか。