相次ぐ食品の値上げですが、本来は価格が上下しにくいはずの「卵」も今回ばかりは例外ではありません。止まらない卵の価格高騰、今後落ち着く兆しはあるのでしょうか。

農林水産省が18日発表した1月の平均小売価格は、サイズ混合・10個入りで244円。特に去年の秋以降、急速に値上げが進んでいます。
金沢市野田町にあるJAの直売所「ほがらか村」では、去年の秋ごろまでLサイズ10個入りで200円前後でしたが、18日は1パック230円に。

買い物に訪れた男性は「上がっていると思う。テレビで価格が上がっているというと余計注目してしまう」と話していました。

別の女性は「価格は高くなっているが、昔のことを思えば卵ほど安い物はないのでは。一番のタンパク源だし、値段についてはあまり抵抗はない」と話します。

JA金沢市ほがらか村野田店の葛葉香穂さんは「価格が高騰したことでお客さまが手に取る回数が少なくなった」といいます。
「物価の優等生」などと言われ、価格が乱高下しにくいはずの卵ですが、なぜここまで値上がりしているのでしょうか。葛葉さんは「例年は年末に価格が上がって年明けに落ち着くということがあるが、今年はニワトリの飼料が上がっていることと、鳥インフルエンザもあって価格がそこまで落ち着くことはなかった」と分析します。
「値上げしたいが…」卵かけごはん食べ放題の店も“ギリギリ”
この価格高騰で直撃を受けているのが、直売所併設の「たまごかけご飯定食」を提供する飲食店です。卵とごはんがお代わり自由、おかずとみそ汁が付いて1食650円。中には5~6杯食べる人もいるようです。

この食べ放題がSNSなどで人気を集め、多い日には店内が満席になることもあるそうですが、店の向井美里さんは「厳しいなというところはある。実際はぎりぎりなので値段を上げたいところだが、お客さんの声を聞いてもう少し頑張ってみようかなと努力している」と本音を漏らします。
国内のニワトリの7%殺処分 猛威振るう鳥インフル
歯止めがかからない卵の価格高騰、落ち着く兆しはないのでしょうか。JAの葛葉さんは「落ち着けば当店としてもうれしいが、時勢によるので分からない」と話します。
農林水産省によりますと、今シーズン、鳥インフルエンザで殺処分されたニワトリは過去最多の1000万羽を超え、国内で飼育されているニワトリの7%に上っています。

鳥インフルエンザの流行は例年春ごろまで続きますが、ヒナから卵を産めるようになるニワトリに成長するまでは1年ほどかかるため、すぐに卵の供給が増えるかは見通せません。