新たな歩みを求めて選んだ新天地

 その後も万全の状態とは程遠い状態が続き、世界一の称号と共につかんだ東京オリンピックの代表を辞退。そして、去年7月に36歳で競技生活にピリオドを打つことになった。

鈴木さんは、指導者の道を歩むことになったきっかけをこう話す。

鈴木雄介さん
「しっかりとポテンシャルを大学のうちから発揮してもらい、大学のうちにある程度、世界での活躍を目指す。また、社会人として世界一を目指すとか、そういった志を持った部員たちに、環境をしっかり与えてあげたいというのはずっと考えていたので、引退したら指導者になることは決めていた。」

 
 新潟食料農業大学陸上競技部は、鈴木さんをコーチに招いて本格的に競歩の強化に乗り出した。部員は現在1年生だけの8人。部員の勧誘も鈴木さんの役割で、今後、4学年が揃えば30人ほどの大所帯を指導することになる。鈴木さんの初門下生となった1年生部員たちは、トップアスリートだった鈴木さんからの指導に刺激を受けていると言う。

新潟食料農業大学陸上競技部・谷村瑛基さん(1年)
「この大学は割と選手目線というか、少しずつ相談しながら指導することが多いので、そういう点ではかなり相談しやすい。」


新潟食料農業大学陸上競技部・中田大嵩さん(1年)
「鈴木さんは、一つ一つゆっくり歩く散歩みたいなペースの練習でも、こういう意識で歩くとか、意味があってやっているという、専門的なところまで見てトレーニングを立てている。それが世界で戦ってきたゆえんだと思う。」