世界一から奈落の底へ 激動の競技人生

 2015年3月に行われた全日本競歩能美大会。鈴木さんの故郷、石川県能美市で行われたレースで世界に激震が走った。男子20キロ競歩に出場した鈴木さんのタイムは1時間16分36秒の世界新記録。日本男子陸上界にとっても50年ぶりの世界記録更新という快挙だった。

全日本競歩能美大会・2015年3月

 世界ナンバーワンウォーカーとして、金メダルの期待を一身に背負い出場した同年8月の世界陸上北京大会。しかし、鈴木さんはここで挫折を味わうことになる。大会前に足の付け根周辺にある恥骨を痛めた影響で、無念の途中棄権。復帰にはその後、3年近くを擁することになる。

世界陸上北京 男子20キロ競歩・2015年8月

鈴木雄介さん
「とりあえず気力が抜けたのが一番だと思う。何しているんだろうということを一番思っていた」