復旧への長い道のり
復旧作業の最初のステップは、倒壊した建物から部材を取り出し、それぞれに元々どの位置にあったかを示す印をつけて外していく作業。「部材に、どこにあっただろうという印をつけて外していくというのが、我々の設計管理の仕事」と遠藤さんは説明します。

しかし復旧作業を進める上での課題は山積しています。2024年9月には豪雨で土砂崩れも発生しており、作業環境の確保も困難。また、建物の下には貴重な資料や展示品も埋まっているとみられ、建築の部材を完全に分解した状態になってから作業という流れになります。
協会では、建物の復元に当たる際、建築現場のすぐそばに現場事務所を設置し、作業が完了するまでスタッフが常駐します。

しかし、上時国家住宅の敷地やその近くに現場事務所としてすぐに利用できる土地がありません。発災当時は、富山県高岡市のホテルから毎日車で3時間をかけて能登まで向かうことを繰り返していましたが、本格的な作業を行うには現場での常駐が必須になります。こうしたスペースと作業員をはじめスタッフが長期間滞在できる場所の確保も必要になります。