技術者不足の壁
復旧作業のもう一つの大きな課題は、伝統的技術を持つ職人の不足です。
文化財保護法では、文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術または技能である「文化財の保存技術」のうち、保存の必要のあるものを「選定保存技術」として国が選定し、その保持者や保存団体を認定する制度を設けています。
上時国家住宅をはじめとした重要文化財の復元には協会の行う設計監理とその復元作業にあたる作業員も専門知識があることが必須です。
文化庁が2021年にまとめた資料では、選定保存技術保持者(個人)の平均年齢は75歳、そのうち60歳未満の保持者は約5%しかいません。

文化財建造物保存技術協会・遠藤優さん「大工さんがいないから工事が進まないとか、そういったことが結構いろんなところで起きています。能登でも当然そういう問題は起きると思いますので、それに対してもどうやって対応していくかということが、関係先と協力しながら考えていかなければいけないことと思っています」