「サザエさん」のような三世代世帯はごく少数派に 昭和の“当たり前”は今や昔

「昭和の家族像」として思い浮かべる光景は、もはや現実とは大きくかけ離れているようです。

かつて日本の「標準世帯」と見なされていた「夫婦と未婚の子のみの世帯」は、2024年(令和6年)では全世帯の24.1%。1986年(昭和61年)にはこの割合が41.4%と、社会の圧倒的多数を占めていたことからも、その地位が相対的に低下したことが分かります。

そして、さらに劇的な減少を見せているのが、国民的アニメ「サザエさん」一家に代表される「三世代世帯」です。祖父母、親、子が同じ屋根の下で暮らすこの形態は、2024年には全世帯のわずか3.4%(186万8000世帯)にまで減少しました。

1986年には15.3%を占めていたことと比較すると、5分の1以下に。あの賑やかな食卓は、今や統計上は“幻”に近い、極めて希少な家族のかたちとなりました。

この背景には、都市部への人口集中や価値観の多様化、そして個人のプライバシーを重視する傾向など、複合的な社会的要因があると考えられます。昭和の時代に当たり前だった家族の風景は、令和の日本では特別なものへと変わりました。

世帯構造の年次推移。表の中ほどにある「三世代世帯」の項目を見ると、1986年(昭和61年)には15.3%を占めていたが、年々その割合は減少し、2024年(令和6年)にはわずか3.4%となっている。