「高3の終わりくらいにはメイクの授業とかあったらいいなと思います」
「メイクの勉強ができてないのでしたいなと思う。校則では全然ダメで。若い先生がメイクを教えてくれたらうれしいかな」

メイク禁止に思うことは

そう!そうなんだよね!わかります!…と思わず取材中に相槌を打ってしまった私が通う高校もメイク禁止でした。一方、初めてメイク道具を買ったのも高校生の時でした。そこには、メイクへの憧れに加え、「大人になったら、“きちんと”メイクしないといけないんだろうな」という漠然とした思いがありました。休みの日にメイクをして外に出てみたいという思いはありましたが、「自分のメイクが間違っていたらどうしよう」、「恥ずかしい思いをしたくないな」という思いが強かったのを覚えています。

取材する記者

1番最初に買ったのは初心者向けで、プチプラ(プチプライス=安価)のアイシャドウが5色入っているもの。裏面にある「使い方」とにらめっこしながらメイクをしていました。

38校中37校が“原則、メイクを禁止”その一方で…変化の兆しに驚き

高校でメイクが禁止されている理由を探るために、石川県内のすべての全日制県立高校に電話での聞き取りを行いました。その結果、38校中37校が“原則、メイクを禁止”、1校が「校則の問題はデリケート」として“無回答”という結果になりました。

メイクに関する校則について電話取材の結果

校則でメイクを禁止している理由は、高校により様々でした。

学校の回答から
・高校生として学校で勉強を学ぶ上で不要

学校で勉強を学ぶ上で不要という意見…その通りだと思います。しかし、一部には素直に納得できない部分もありました。

学校の回答から
・人の目をひくような恰好は事件に巻き込まれる
・高校生らしく、ありのままの姿で
・特に理由はない
・勉学に専念 化粧を許すと化粧品が欲しくなり過度なアルバイトに繋がる
・高校生は勉学と部活動、日に焼けて土にまみれるべき

メイクには否定的な声が目立つ

メイクに否定的な意見が目立つ一方で、こんな意見もありました。

学校の回答から
・(メイク禁止を)見直していかないといけないのかも。すぐ社会人になる子もいるだろうし
・メイク禁止が古い感覚になりつつある。明確な理由がない

こんな意見も…

正直驚きました。
“時代の波に合わせた変化が必要”と柔軟に考えている学校もあるとは。高校では当たり前の「メイク禁止」の校則が、いつか見直されるときが来るのかもしれないと感じました。

女性がメイクをする理由…根幹には“相手への心遣い”

社会人となる上で、メイクはどのような効果を発揮しているのか。ビジネスマナーや身だしなみについて企業に指導を行う人材育成講師の田川ひとみさんに伺いました。

記者
「どうして社会は女性にだけメイクを求めるのでしょうか?」

人材育成講師 田川ひとみ さん
「メイクをする1番の理由は乾燥や外の刺激から肌を守るため。女性は男性よりも皮脂の量が少ないので肌も荒れやすく、しわやしみにもなりやすいのでメイクをします。今では男性の化粧品もいっぱいありますけどね。」

本来の化粧の目的は、肌への刺激を守るため。しっかりとした理由がありました。
さらに田川さんは、メイクの重要性について「社会人になると、目線が、自分目線からお客様とか相手の目線に変わってくるので相手への気づかいや心遣いが重要になる。メイクもその中のひとつだと考えられている」と話してくれました。

さらに、普段私が感じていた“ある疑問”もぶつけてみました。

記者
「社会人のメイクとしては、色を使うのがあまりよくない?」
田川さん
「そんなことはありません。自身のお肌の色がより綺麗に見えるような、目元が明るくなる色(ピンクやオレンジなど)を、少し入れていただいた方が印象がよくなります。」

今まで落ち着いた茶色などを使っていたのですが、明るい色も使っていいとのこと。私の固定概念が覆りました。

田川さん
「顔があがってるのわかります?」
記者
「あ!本当ですね!あがってる!」
カメラマン
「本当やな~!」

変化を感じて喜ぶ記者

眉毛をしっかりと書き、まぶたに明るい色を加え…
目が大きく見えるよう、目のふちに濃い色をのせて…
顔の立体感を出すハイライトを加えて完成です。

以前は、幼い印象で頼りなく見えていた私でしたが、メイクの指導をしてもらったことで、目力が強く、信頼感を与える顔に。「化粧が濃い」と感じさせるわけではないのに、明らかに印象が変わり、メイクの力を実感しました。

普段の記者/眉毛が見えず、目力も感じないため頼りない印象に
メイク指導後の記者/おでこを出してしはっきりと書いた眉毛を見せることで信頼感のある印象に


さらに、田川さんはコロナ禍でメイクを学ぶ機会に大きな変化があったと話します。