彦乃との愛の証に作ったプラチナの指輪
彦乃の死に深いショックを覚えた夢二は、プラチナの指輪を作ります。
その内側には、「ゆめ35 しの25」と彫られています。
「ゆめ」は夢二、「しの」は、夢二がつけた彦乃の愛称。
25は、彦乃の享年。35は、結核治療のため、夢二と彦乃が強制的に別れさせられた時の夢二の年齢です。

彦乃には、元々結婚を約束した相手がいました。夢二と出会いは、道ならぬ恋だったのです。当然ながら彦乃の父は、夢二との同棲に激しく怒り、結核治療のため別れさせられた際、夢二は階段から突き落されたという話が残っています。
残された指輪から、夢二が、彦乃に注いだ愛情の深さが垣間見えます。
最愛の人と言われた彦乃との湯涌温泉での思い出は、生涯忘れられないものといわれ、作品にも大きな影響を与えました。