地震により集団避難を余儀なくされ、故郷を離れて活動を続けてきた石川県輪島市の御陣乗太鼓保存会。14日、地元では震災後初めてとなる公演に臨みました。
輪島市町野町の曽々木海岸は、地震の影響で海岸線が50メートル以上後退しました。広がった砂浜を活用して地元を盛り上げていこうと大川浜で14日、「浜開き」の催しが初めて開かれました。
その会場に姿を現した、御陣乗太鼓保存会のメンバー。御陣乗太鼓発祥の地・名舟町からは本来であれば車で5分ほどの距離ですが、国道が寸断されたままのため30分近くかけて迂回し会場に到着しました。

御陣乗太鼓保存会 槌谷博之 事務局長
「若い人たちがみんなもう帰ってこないんじゃないかとよく新聞とかで出てるけど、こうやって見ると町野の若い人がたくさん集まってくれて感激している」
地震後初めてとなる、地元・輪島市での公演。集団避難によって金沢などで避難生活を余儀なくされたメンバーですが、打ち手17人のうち15人がようやく輪島に戻ってきました。
集まった地元住民からも笑顔がこぼれます。
「海をバックに外でやるのっていいですね」「やっと能登へ帰ってきたという感じです」(地元住民)

御陣乗太鼓保存会 槌谷博之 事務局長
「うちら御陣乗太鼓は波打ち際とか海岸線でやるのが一番合っているし、今後ともこういう活動を是非とも続けていきたい」
地震前は毎日のように引き合いがあった打ち手たち。地元を拠点とした活動の一歩目を、ようやく踏み出しました。

今回、浜開きを企画した町野復興プロジェクトの山下祐介さんも、「御陣乗太鼓はすごく近くにあるものの目にする機会が少なかった。地域全体を盛り上げていくうえで一役買ってくれた」と話しました。
地元に戻って日常を取り戻そうとする人はもちろん、未だ故郷を離れて避難生活を続ける被災者の勇気に少しでもつながればと思います。