「同じこと2回起こしていたらバカだ」原発の防災基準は不十分
志賀原発の元現場責任者 伊藤栄次さん
「基盤面の清掃のことを岩盤清掃と言うんですけど、1号機、2号機含めて99%やってきた。岩盤面をきれいに掃除して均しコンクリートって打つんです。そこに建築会社が建屋を建てていく。自分は均しコンクリートまでやった」

志賀原発から20キロあまり離れた石川県宝達志水町。この街に暮らす伊藤栄次さんは、およそ40年前志賀原発の建設工事に携わりました。

伊藤栄次さん
「やっぱり技術者として原子力に関われる技術者は少ない。どのゼネコンもそうだが一流の会社のスペシャリストの技術者の人が来ていた。そこで切磋琢磨して造り上げたから、やっぱり嬉しかったですよ。できた時は」

伊藤さんは1987年から1号機と2号機の工事で原子炉建屋の基礎となる地盤工事の現場責任者を務めました。多い時には200人もの作業員を指揮していたといいます。

伊藤栄次さん
「活気はあった。コンクリートを打つ時にポンプ車で入れるが、台に乗せてクレーンで釣って入れる。仕事終わるのが夜中になるが、上にサーチライトが照らしているから、これこそ宇宙戦艦ヤマトだと思った。それくらい魅力があった。造っている時はね。自分たちも真剣だからね。いいものを造りたいって」

このほか消火設備などの作業にも携わったという伊藤さん。志賀原発で起きた変圧器の油漏れについては起こるべくして起きたと感じています。

伊藤栄次さん
「やっちゃったねって感じ。(地面の)埋め戻しの関係。きちんとできていれば動かないが、いいようになっていなければ動くよね。たぶんこれば間違いなく不十分だ。土木屋から見ると。これをきちんとやる方法はないんだろうね。(スペースが)狭いからね」

伊藤さんは、国内の原発の災害に対する対応が不十分だと感じています。


伊藤栄次さん
「(災害に対する基準が)一般工場並みというのがガン。日本の54基ある原発がすべて同じこと。柏崎刈羽原発が中越地震で火事を起こした。それなのに何年も対応していない。なぜだろうと。同じこと2回起こしていたら、自分に言わせたらバカだ。それ以上の基準がないようなら作ればいい。何年も時間があったのだから」