同性同士の結婚を認めない民法などの規定が憲法に違反するとして、同性カップルらが国を訴えた裁判の判決があす、東京高裁で言い渡されます。「当たり前の幸せを認めてほしい」。原告の思いを取材しました。

福田理恵さん(51)と藤井美由紀さん(50)。都内のマンションで“同性パートナー”として暮らしています。

日中に働く理恵さんと、夜勤が多い美由紀さん。週末は、2人と愛猫で過ごす大切な時間です。

藤井美由紀さん
「若い」

福田理恵さん
「若くてびっくりする。10年以上前」

出会ってから11年、誕生日に贈り合ってきたアルバム。

福田理恵さん
「初めて一生一緒に過ごしたいと思った人に出会ったから、思い出いっぱい作っていきたいなって」

2人は「生涯の伴侶」として時間を重ねてきましたが、日本の法律では同性同士の2人は結婚できません。

藤井美由紀さん
「家族なんですけど、私のなかでは。でも、日本では家族ではない、赤の他人。(関係性に)言葉がないのがつらい」

自分の身に何かが起きたときに財産や生命保険を相手にのこすために公正証書をつくりましたが、税金の控除を受けられないなど、様々な不利益があります。

こうした状況を変えようと、2人は2021年、ほかの性的マイノリティの人たちと行動を起こします。同性婚を認めない民法などの規定は憲法が保障する「婚姻の自由」や「法の下の平等」に違反するとして、裁判を起こしたのです。

福田理恵さん
「パートナーを守るために、自分らしく生きていくためにできることはしてきました。それでも、法律上の夫婦と同じ扱いは受けられません。常に不安を抱えながら暮らしています。安心して暮らせるように、日本でも同性同士の結婚が認められることを切に願っています」

東京や大阪などで起こした6つの裁判では、1審は、「違憲」、「違憲状態」、「合憲」と判断がわかれましたが、2審では、理恵さんたちが原告となっている裁判を除く5つの裁判で「違憲判決」が出ています。

しかし、違憲判決が相次いでも、同性婚の法制化に向けた動きはありません。

藤井美由紀さん
「これがアメリカの結婚証明書」

2人は2年前、アメリカ・ニューヨークで法的な結婚をしました。日本国内では法的な効力はありませんが…

福田理恵さん
「最後にお互い本当に死ぬ瞬間に『日本では結婚できなかったけど、せめて私達アメリカでは夫婦だね』と言いながら人生を終えたいねと、結婚することにしたんです」

藤井美由紀さん
「結婚式のときはもう多幸感。今まで味わったことのない幸せに包まれました」

この日は、2人の“結婚2周年”の記念日。花束を手にした2人は、「国会を動かすような踏み込んだ判決を出してほしい」と期待を込めます。

福田理恵さん
「何か特別な権利をもらいたいと主張しているわけではなく、皆が当たり前に享受できている結婚を通して、幸せを追求するという選択肢が欲しいだけ、国会が動けるように動くように(判決では)強い主張をしてほしい」

藤井美由紀さん
「私たちも、みんなと同じく手を繋いで堂々と街を歩いて、幸せを享受したい」

理恵さんたちが原告となっている裁判はあす、東京高裁で判決が言い渡されます。2人が望む未来につながる判決が下されるのでしょうか。