そんな中、出されたのが・・・

「夜と朝のあいだに」アポロ11号が月にいった昭和44年に発売された当時17歳のピーター・池畑慎之介さんのデビュー曲です。その年の日本レコード大賞・最優秀新人賞を獲得しました。
「レコード発売と同時に翌週にベストテンに入っちゃった。こういうイメージの人が歌謡曲を歌ってお茶の間に入ってきた。それがさっと受け入れられてヒットした理由だったと思う。だからやはりテレビの威力はすごい。大人のお兄ちゃんやお姉ちゃんたちが、かわいい坊やをかわいがるみたいに大人のアイドルにしたかった。ふたを開けると小学生からのファンだった。とにかくアイドルになってしまった。プロダクションは大人の仕事だと思って、夜のキャバレーの仕事を取った。あわてて市民会館もピーターショーを取り始めて。あの時代は昼間ショーやって夜キャバレー飛び込んで歌わされたりしてすごく忙しかった。どこで何しているのか記憶がないぐらい。
17歳にしてスターダムにのし上がった池畑さん。20代から30代にかけ徐々に役者をやりたいとの思いが強まり、舞台や映画に軸を移したとき、大きな出会いがありました。日本を代表する映画監督・黒澤明監督の映画「乱」への出演でした。

「君がピーターっていうの、まあ座ってください。サングラスを取ってくださった。怖い方だと思ったらすごくやさしいおじいちゃん。今回、僕は絵コンテに君の顔を書いているんだよと言って。狂阿弥の顔がある。狂阿弥はピーターのメイクはいらないね。って素顔にしてくれた。この役だからメイクを取って出ているのだなとすごくありがたかった。狂阿弥は狂言師なので、いろんなことを唯一殿に対してずけずけと本音を言える。面白い役だった。すごく私にとっては一皮も二皮もむけたし、ピーターはメイクを取ってでも役者としてやりたいんだなと歌手以外の仕事を、役者として認めてくれた作品だった。もう少し若い時に出会いたかった。もっとしごかれたかった」