2022年は過去30年間でも類を見ない「記録的な値上げラッシュ」となりました。高知県でも、消費者、生産者、様々な人が値上げに翻弄されました。

▼買い物客
「高い…けど、買わないと生活できない」


9月。マーガリンやチーズ、コーヒーなど約2400品目が値上げ。さらに10月には過去最多となる、約6500品目が値上げとなりました。特に、高知県民にとって痛手となったのが…

▼リカオー 櫻井貴之 店長
「ビール、飲料、清酒、焼酎チューハイがメインでおよそ2000品目くらいが値上げの対象に」


ビール大手4社がビール類やチューハイを値上げ。缶ビールは実に14年ぶりの値上げとなり、県内の量販店などでは値上げ前にまとめ買いをする客の姿が見られました。

「高知県民なので、お酒が…」


▼買い物客
「値上がりするので…」
「高知県民なので、お酒飲みますので…悪あがきをしにきました」


さらに、ガソリンも。

▼三上萌々アナウンサー
「3円値上げです。レギュラーは1リットルあたり179円。今年に入って3回目の値上げです」


高知県内のレギュラーガソリンの店頭平均価格は、6月27日時点で1リットルあたり179円に。統計を取り始めた2004年からの推移をみると2008年のリーマンショック前の時期に迫る14年ぶりの高値になりました。ガソリンの原料となる「原油」が高騰している背景には、コロナ禍からの経済活動の回復により需要が高まっていること、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化などがあります。

▼明神石油 森下雅士さん 
「やはり買い控えというのは間違いなくありますから、来店台数が減っている現状。仕入れ値が上がっているので値上げせざるをえない状況」


12月19日時点で176円と、一時より下がっているものの、高止まりの状況は続いています。運輸業界からはこんな声も。

▼高知県トラック協同組合 馬宮一彦理事長
「もう限界!」


県内の運送業者で組織する県トラック協同組合では、燃料の消費を抑えたり取引先との価格交渉を行ったりとコスト削減を試みていますが、これ以上、打つ手はないと話します。


▼高知県トラック協同組合 馬宮一彦理事長
各社やれることはすべてやりつくしている状態。運送業者にとっては外的要因で燃料が高くなって企業ではどうしようもできないところまできている」

また、原油や原材料高騰の影響はこんなところにも…。高知県産の「ミョウガ」。生産量は全国1位を誇り、関東や関西方面を中心に全国に出荷されています。JA高知市によりますと、この「ミョウガ」を入れるパッケージやラップも1.5倍に高騰しています。


▼ミョウガ農家 谷泰志さん
「全体的にすべてが上がっている。冬場ですからハウスの中の暖房を使うのに重油を使うが、重油ももちろん上がっている。ハウス資材、一番よく使うのが肥料なんですけど、肥料もやっぱり上がっておりまして、今までの何もない時から比べると1.5倍くらい。そういった形でハウス資材に関しては場合によっては1.5倍から1.8倍とすごく上がっていますので、やっぱりトータルで見ると農家にとっては負担が…。」


高知市の「谷農園」では、42アールのハウスでミョウガを栽培しています。ミョウガを栽培し始めて8年。輸入などに頼る肥料の高騰対策として行政からの補助もあるものの、2022年は特に値上げの影響を感じているといいます。


▼ミョウガ農家 谷泰志さん
「やはり補助金というのは、一時的でずっと続くものではないかといって、世界情勢を見ると肥料が入りにくい、ことしよりも来年、再来年とボディブローのようにきいてくるのではないかと」

「新しく農業を始めようという人が、やはり今まで以上に経費がかかるとなると、それを目指していた人が諦めざるをえないという状況になるのでは。最終的には生産者農業人口が結果的に減っていくということを危惧している。」

次々と押し寄せる値上げの波。2023年は四国電力やJR四国が値上げを決めているほか、2月には、再び食品を中心に値上げラッシュとなる可能性も指摘されています。家庭や事業者への負担は来年以降も続きそうです。