洋式のトイレは中央に穴が開いているため、便座に座ると腹圧が抜けて骨盤底筋に負荷がかかる状態になっています。

高知大学医学部骨盤機能センター・井出志正特任教授(理学療法士)によりますと、「洋式便座に長時間座って踏ん張ったり、前かがみの姿勢になったりする状態が続くと、骨盤底筋群は臓器の重みや軽度の腹圧によるストレスを持続的に受けることになり、それが骨盤底筋のゆるみ・衰えにつながって、尿もれなどの尿トラブルのリスクが上がる可能性がある」といいます。

2025年に発表されたアメリカの研究(PLOSONE誌)によりますと、トイレでスマホを使用する人の37.3%が5分以上座っているのに対し、非使用者ではわずか7.1%でした。つまり、スマホ使用者は使用しない人の5倍近くトイレに長居する傾向があります。
参考論文(1)Smartphone use on the toilet and the risk of hemorrhoids
原文のURL: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0329983

井出特任教授が、スマートフォンをトイレに持ち込むとき、骨盤底筋に負荷をかけすぎないために気を付けるポイントを4つ教えてくれました。
(1)トイレでのスマホ使用は控え、滞在は5分以内を目安にする。
(2)便座に座る際は足をしっかり床につけ、過度な前かがみは避ける。(排便時は軽く前かがみになることで便が出やすくなります。ただし、深すぎる前かがみや長時間の座位は骨盤底筋群への負担となるため注意が必要です。)
(3)便秘を予防するために十分な水分・食物繊維を摂取し、いきみを減らす。
(4)骨盤底筋トレーニングを継続し、骨盤内臓器を支える力を高める。