地元食材の魅力を再発見してもらおうという食のイベントが、このほど、高知県宿毛市で開かれました。中には、3年前に就農した若手畜産農家が初出荷した黒毛和牛も。参加者たちは「宿毛」の食の豊かさを感じていました。

『すくも食べるTHEATER』と名づけられたこのイベントは、地域の食材の魅力をより知ってもらおうと、宿毛市と地元の飲食店、生産者らが協力して開きました。
鮮度を保つために特別な方法で血抜き・神経締めをしたシマアジやネイリなどの鮮魚に…。


高知では初めてだという養殖真ガキなど、地元の食材をふんだんに使ったコース料理が目の前のキッチンで調理され、提供されます。その中でも一際目を引いていたのは、美しいサシが入った、牛肉。

「素手で触るだけでとけるぐらい、柔らかい脂ですね」


3年前、子牛を育てて出荷する繁殖農家として就農した、宿毛市の阿部弘史さんです。人工授精で生まれた子牛を育てて市場に出荷していて、今回初めて、食肉として流通することになりました。阿部さんは幡多農業高校のアグリサイエンス科で学び、県外の畜産会社に就職。その後、県内に戻って経験を積み、独立しました。

(畜産農家 阿部弘史さん)
「大きい動物を扱う仕事に就きたいなというのが小さいころから夢だったので、その夢を叶えたいなというのがきっかけですね」

高齢化が進むなか、地域産業の担い手としても期待される阿部さんですが。
(畜産農家 阿部弘史さん)
「地元の方々からはいろいろな期待をしてもらいながら応援してもらっている形なんですけど、自分からしてみれば地元で就職できて自分の好きな仕事を毎日できているということをとても楽しく思いながら仕事しています」

阿部さんが出荷した黒毛和牛はローストビーフの握りずしと炭火焼ステーキで提供されました。最高級の部位シャトーブリアンを使った炭火焼ステーキに参加者は。

(参加者は)
「うん、おいしい」
「お肉も柔らかくて塩ダレもすごく合っていて、とてもおいしいです」

参加者たちは地元生産者から食材についてのこだわりなどを聞きながら、それぞれの料理に合わせて選ばれたお酒とともに食事を楽しみ、地元食材の魅力を再発見していました。

(畜産農家 阿部弘史さん)
「うちにいる段階では生後、間もないということもあって、風邪をひいたりしたときもあって夜な夜な看病したこともあったんで無事にこういう形で出荷できたことがとてもうれしく思ってます」

(宿毛市 産業振興課 濵口勝太 主事)(農業振興係)
「ずっと去年から阿部さんと関わっているので、いろいろと苦労されていることも知っていましたので、記念すべき初出荷のお肉をみなさんに食べていただいて、すごくうれしい気持ちです。こういった方々がどんどん増えていってもらうのが産業振興課としての取り組みなので、全力でバックアップしていきたいと思います」
