安倍晋三元総理を銃撃した罪に問われている山上徹也被告の裁判。11月25日(火)の第11回公判での被告人質問で、山上被告は安倍元総理が旧統一教会の関連団体へ寄せたビデオメッセージについて、「(この動画が世に広まるなどすれば、旧統一教会が)問題のない団体と認識されると思った」「非常に悔しいし、受け入れらない」「絶望と危機感を抱いた」という旨を供述しました。

 前回11月20日(木)の公判での被告人質問では、山上被告の子ども時代から、23歳で自殺を図った頃までについて、弁護人が被告に質問しました。

 11月25日(火)の被告人質問2日目では、安倍元総理が2021年に旧統一教会の関連団体である「天宙平和連合(UPF)」に宛てたビデオメッセージについてのやり取りがありました。捜査段階では、このメッセージが、安倍元総理を狙った犯行の導火線とされてきました。

 山上徹也被告(25日の被告人質問)
 「最初は(安倍元総理が)現役の間には出ない良識はあったんだなと。逆に1度出てしまったら、これがずっと続いていくんだとしたら、(旧統一教会が)どんどん社会的に認められて、問題のない団体だと認識されると思った」
 「被害をこうむった側からすると非常に悔しい、受け入れられないなと」
 (弁護人)「感情的に表現すると?」
 (山上被告)「絶望感と危機感だと」
 (弁護人)「怒りは?」
 (山上被告)「安倍元総理本人に対してではないけど、そうなっていることに対して、怒りというか……困るという感情」


▼証人出廷した母親 “子どもたちの進学より、献金が大事だと考えていた”

 山上徹也被告は2022年7月、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、参院選候補の応援演説を行っていた安倍晋三元総理(当時67)を、手製のパイプ銃で銃撃し殺害したとして、殺人などの罪に問われています。

 10月28日の初公判で山上被告は、「すべて事実です。私がしたことに間違いありません」と起訴状で指摘された行為をすべて認めた一方、「法律上どうなるかは弁護人の主張に委ねます」と述べました。

 弁護人は、武器等製造法違反など一部の罪について、罪の成立を争う構えを示しています。

 捜査段階で山上被告は、「母が旧統一教会に多額の献金をし、困窮した。難病の兄が十分な治療を受けられず、苦しんで自殺した。私も大学に行くことができなかった」という旨の供述を展開。

 これまでの公判には、母親も証人として出廷し、“子どもたちの進学よりも、献金することが大事だと考えていた”という旨を証言するなど、自らの信仰や巨額の献金について語っていました。