2016年、誕生から5年とたたずして、ゆるキャラグランプリで王者になったキャラクター“しんじょう君”。生み出したのは、当時、高知県須崎市の職員だった男性だ。ふるさと納税寄付額を1000倍まで伸ばし、退職後に起業した会社は社員が2人から270人に。“バズらせ”の達人が描く、「世界と戦える地域づくり」とは。
始まりは70ページの企画書
「よろしくお願いしま~す」…ゆるキャラ以上に“ゆるく”スタジオに入ってきたのは、守時健(もりとき・たけし)さん(39)。SNSマーケティングを使って、その土地の特産品を発信する地域商社「パンクチュアル」の社長だ。

高知県須崎市の元職員。公務員時代に、市のマスコットキャラクター・しんじょう君を生み出し、‟常に隣にいる人“として、度々メディアや全国各地のイベントに登場してきた。
入庁は2012年。3か月で頭角を現した。台所事情の厳しかった須崎市を盛り上げようと、活性化策を提案する企画書を上司に提出。ゆるキャラを軸に、SNSを活用した情報発信の重要性などについて書いた企画書は、A4用紙70ページにも渡る″大作“だった。
守時健さん
「いち公務員でもできることといえば『情報発信』だと考えました。そこで、当時よく目にしていた『ゆるキャラ』を使って何かやれば、大都市にも勝てるんじゃないか、と思ったんです。」
そうして誕生したのが、しんじょう君。その後の市の活性化になくてはならない存在となった。