地震発生後に連絡つかず…

2024年の元日、能登半島を襲った最大震度7の大地震。発生の報を聞き、数年ぶりとなるメールを宮内さんに送った。しかし返信は無い。

宮内さんは、現場を重んじる技術者だ。恐らく、復旧作業に携わっていて、忙しい状況なのだろうと推測できるものの、こうなると安否が気遣われる。

意を決して、宮内さんの勤める会社に電話をかけてみる。聞き覚えのある受け付け担当者の声に、どこかほっとする。そして宮内さんは無事であること、正月から能登に入りっぱなしとなり、町の担当職員とともに、水道の復旧対応にあたっていることを聞いた。

「私も今年に入ってから、宮内とは会っていないんですよ。携帯電話にかけてもいいと思いますよ」

現場で奮闘する宮内さんの姿を思い、電話をするのはやめた。

後編では、記者は思わぬ形で浄水場の〝その後〟を知ることになる。そして自身の住む愛媛に浮かび上がった震災への課題とはーー

【後編】能登半島地震の直後に現場へ…2週間ぶりの連絡で交わした会話 気付かされた”過信” そして、忘れられた“南海トラフ地震”