松山城の城山で発生した土砂災害について、松山市による初めての住民説明会が24日夜に開かれ、野志克仁市長が、山頂に整備した緊急車両用道路に問題なかったという見解を示したのに対し、住民からは厳しい声が上がりました。
24日午後7時から行われた城山の土砂災害に関する松山市の住民説明会。
住民(開始前)
「時期的にもう7か月経っているからね。原因を我々に分かりやすく説明してもらいたい」
被災した松山市緑町の住民らおよそ80人が出席し、焦点の1つで、2018年に城山の頂上付近に市が整備した緊急車両用道路の設計や施工、また、管理が適切だったどうか、野志克仁市長が見解を示しました。
野志市長
「緊急車両用道路の設計・施工に問題はなかったと判断しました。また、本市として、本件災害の発生を予見したり、その結果を回避することは不可能であったと考えられますので、その管理に瑕疵があったとは言えず、従って、国家賠償法に基づく賠償は難しいと判断しました」
野志市長は、専門家の意見も踏まえ、緊急車両用道路の設計・施工に問題はなかったと説明しました。
そして、このエリアではこれまで同様の災害が起きていないことや、メカニズムも複雑だったため、発生を予見したり回避したりすることは不可能だったとして、道路の管理にも不備があったとは言えないと述べました。
これに住民からは、市が分析を依頼した専門家が地元の研究者だったとして、第三者による検証を求める意見もでました。
住民
「緊急車両用道路について、もっと客観的に公平にいろんな切り口を持って調べていただきたい。それをオープンに我々も納得できるような形でやっていただきたい」
市の担当者
「必要となる道路の検証は今回行えていると思っているので、これ以上の検証の必要はないと考えている」
住民
「責任逃れか!」
また、これまで7か月、説明会を開かなかったことなど、市の対応にも不満が噴出しました。
住民
「どんな言い訳があっても7か月間、ほったらかしにされていた僕たちのことを少し考えてもらいたいと思います。市長であるあなたのこれまでの対応に不信感しか感じていません」
住民
「今までの7か月の間に市長としてやるべきことがあったでしょ。いい加減にしてくれ」
さらに、住民たちが事前に提出した質問状にも回答がなかったとして、その対応などをあらためて要求しました。
住民
「なんでそれを無視するんですか?この出している質問状の内容について、一問一答の形式で早々に回答を作っていただいて、きょう参加してくれた皆さんのところにきちんと配布してもらって、あらためてそれを読んだ上での説明会を設けてください」
説明会は予定を30分オーバーしましたが…。
住民(終了後)
「市長が出てきてどんなこと言うかなと思っていたけれど、みんながっかりでしょ。多分100人中100人が納得していない」
「きょう何かが少しでも解消できたとは全く考えられない」
野志市長
「できる限りの説明に努めさせていただいたと考えています。様々な方の様々な考え方があろうかとは思います」
松山市は、質問状については文章で回答するとした一方、再度の説明会についてはまずは個別に対応すると述べるにとどました。
――――――――――――――――――――――――――
【取材後記】
住民のみなさんの強い怒りと失望を感じた。
発生から7か月たってようやく開かれた松山市の説明会だが、住民からの質問に野志市長は用意した原稿の読み上げを繰り返すばかりで、住民の不安や不満を払拭するどころか増大させていた印象だった。
会場からも「市長には自分の言葉で話してもらいたかった」「もっと市民に寄り添った対応をとる必要があったのではないか」という意見が相次ぎ、声を荒げる出席者もいた。
説明会の最大の注目点だった緊急車両用道路で、野志市長は「問題ない」との見解を示したが、それに対する反応について、松山市の検証方法にも野志市長の説明にも納得できていない人が多くを占めていたように感じた。
あらためての説明会の要求に対し、市はまず個別で対応するとしているが、住民が納得できるよう誠実に対応してほしいと感じる。