40代を迎えた記者。
あれは小学校低学年の頃だっただろうか、ぼんやりとした記憶だ。
地元の消防職員が、グラウンドに児童を集めて、防火に関する出前授業を行う。
ひと通りの講話が終わると、今度は実演である。おもむろに大きなフライパンのようなものが用意されると、そこに火が点けられる。
恐らく灯油でも入っていたのだろう、結構な勢いの火の手が上がっていたように思う。
せめぎ合う黒煙と白煙と
それに対して、今度は本物の消火器が使用される。
真っ白な消火剤が盛大に噴き出して黒煙と交じり合う。砂ぼこりも混じってグラウンドはもうもうである。隣接して止め置かれていた先生の車なんて、えらいことになっていたのではあるまいか。今になって思うと、あれはなかなかダイナミックな実演だった。大らかな時代だった。
恐らく今だと、水を噴射する模擬的な消火器を使う訓練くらいのものなんじゃないだろうか。
子どもたちをとりこにした「はたらくくるま」
そんなグラウンドには、併せてぴかぴかの消防車と救急車が展示されていた。
いわゆる「はたらくくるま」が目の前にある訳だから、特に男子はそれに夢中で、まぁ少なくとも幼い記者はカッコいいなぁと見とれていたものだ。
混じって止め置かれたナゾの消防車
で、そこに混じって、ずいぶんと小さな消防車も展示されていた。
幼いながらに、実際の現場で使われることはないのだろうと分かる、可愛らしい車両だった。
けれども見た目はきちんと消防車で、エンジンも搭載されていて、児童たちを乗せてグラウンドを周回することもあった。








