日常化する身体的暴力と理不尽な給与天引き
言葉による暴力にとどまらず、身体的な暴力も日常的に振るわれていたという。
今年5月中旬に来日した30歳のミャンマー人女性Aさんは、働き始めて数日後、山で支柱にロープを結ぶ作業中に言葉を理解できなかったという理由で、父親から金属製の棒で2回たたかれた。人生で一度も手を上げられたことがなかったAさんは、突然の暴力に泣き崩れたという。その後も父親は「この苗はどうやって結んだんだ」と怒鳴り、別の人が行った作業をAさんがやったと決めつけ、一方的に責め立てたとAさんは明かす。
今年5月に入国し、東京へ逃れた37歳のミャンマー人男性Xさんは、働き始めてわずか3日後に暴力を振るわれたという。ジャガイモのコンテナをきちんと積み重ねていなかったという理由で耳の後ろをたたかれ、膝の裏を蹴られた。これによりXさんは4~5日は普通に歩くことができないほどの強い痛みを負った。
Xさんの同僚が撮影した動画には、暗い倉庫の中で父親がXさんに向けて「何だその目、文句あるのか、言ってみろ、したら」と大声をあげ、「この野郎、ちょっと来い。教えてやっから」と胸ぐらをつかんで強引に外へ引きずり出す様子が映っている。抵抗してしゃがみ込むXさんを無理やり引っ張り出す光景に、周囲の女性労働者は悲鳴を上げていた。
Xさんは、倉庫の陰に引っ張られ、突然ビンタされたこともあったという。「どうして私の顔をたたいたんですか」と訴えるXさんに対し、父親と長男は「アホなことするからだよ」「仕事しないからだべ、言ったこともわからん」「黙って仕事すれ」「ふざけるな」と罵声を浴びせ続けた。
耐えかねたXさんが夕方に退職願を出すと、長男はそれを床に投げ捨て、次男が胸を突いて外へ押し出し、あごをつかんで「働くんだよ」と無理やり労働を強要したとXさんは明かした。
さらにXさんは、仕事中の過失による道具の破損を理由に、給与からの天引きも受けたと訴える。6月にチェーンソーを壊したとして弁償代4万円と諸経費を天引きされ、手元には7万円ほどしか残らなかった。7月末には、草刈り機の回転部分から異音がして動かなくなったことを次男に報告したところ、「壊したから弁償しろ」と言われ、その日の夕方には父親と次男から太ももを前から蹴られた。そして長男から「お前が壊したんだから給料から引く」と宣告された。
20歳の男性Eさんも、7月上旬にブロッコリー畑で草取り作業中、苗の傷を見つけた次男から「お前がやったのか」と怒鳴られた。わからないと答えると、次男は持っていた長さ約1メートルのステンレス製除草道具でEさんの右足太ももの裏を7~8回殴打。さらに頭をたたこうと振り下ろした道具を腕で防ぐと、右上腕部を2回、そして頭頂部をたたかれた。Eさんが何度謝っても暴力は止まらず、父親からも暴力を振るわれたという。Eさんもこの農場法人から脱出した。







