のどかな田園風景に潜む外国人労働者に対する“虐待”の闇

北海道を代表する一大農業地帯、後志地方に位置する京極町。日本百名山にも数えられる羊蹄山の麓に広がるこの町は、ミネラル豊富な伏流水と激しい寒暖差、肥沃な土に恵まれ、ジャガイモやユリ根、ニンジンなどの生産が盛んだ。近年は外国人観光客に人気の観光エリアとしても知られているが、この豊かな農業現場を支えているのは、外国人労働者たちである。

農業法人で働く外国人(北海道京極町)

収穫のピークを迎える夏、畑では特定技能として働くミャンマー人などが手際よく特産のブロッコリーを切り取っていた。しかし、そののどかな田園風景の裏側で、耳を疑うような人権侵害行為が繰り返されていたことが、当事者たちの告発で明らかになった。

舞台となったのは、ミャンマー人を中心に多くの特定技能外国人を雇用している京極町の農業法人。この法人を実質的に取り仕切っているのは、現職の町議会議員でもある60代の父親と40代の長男、次男の3人だ。

彼らの下で働く外国人労働者たちは、日常的な怒鳴り声、殴打や蹴りなどの暴力、卑劣なセクシャルハラスメント、そして「ミャンマーに帰す」という脅しを受け続けていたという。

外国人労働者たちが録音・録画した記録や、脱出したミャンマー人たちの証言などから、この農業法人でのいびつな支配構造があぶりだされた。(HBC報道部 取材班)

「日本のご主人様は誰だ」絶対的支配と恐怖の言葉

この農業法人で働く外国人が密かに録音していたデータには、現場での異様なやり取りが克明に記録されている。朝、ミャンマー人らが声をそろえて「おはようございます」と挨拶をしても、親子がそれに応えることはなく、いきなり怒鳴り声が響くことが常態化していた。

畑で働く外国人(北海道京極町)

日本語での指示がうまく伝わらないことへのいら立ちからか、「だめだ帰れ」「やる気がないなら帰れ」という言葉が日常的に浴びせられていた。

録音データには、長男の「日本語を半分も理解してねえ。言われたことしねえんだ。こんな奴はいらない」「今日見ていて、やらないんだったら給料は半分だからな」「態度悪い奴には仕事させない」「バカども、どいつもこいつも、質が悪すぎる」といった暴言が残されている。

さらに60代の父親は、「悪い奴は待てないから帰すから、代わりは来るから」と脅し、「お前たちの雇い主だぞ。誰に雇われていると思っているのよ。誰から給料もらってんのよ。日本に来て仕事をしたいんだったら、日本のご主人様は誰だ!」と高圧的に言い放っていた。

事務所から畑までのワゴン車での送迎時にも、長男が「乗れ!早く、早くといったら走って乗れ、コノ」と怒鳴りつけるなど、対等な雇用関係とは程遠い、主従関係が強要されていた。