問題発覚の端緒は支援ネットワークに届いたSOS

北海道京極町の農業法人で、町議会議員を務める60代の父親とその40代の息子2人から暴力、暴言、セクハラなどといった虐待を受け続けていた特定技能のミャンマー人労働者たち。

閉ざされた農場で絶対的な権力に支配されていた彼らに、救いの手が差し伸べられたのは、地域を越えた支援ネットワークの力だった。問題発覚の発端は、沖縄県で行政書士を務め、日頃から特定技能外国人のサポートを行っている浦崎暁氏のもとに届いたSOSだ。

特定技能外国人のサポートを行っている浦崎暁氏(右)

7月中旬、浦崎氏は沖縄に暮らすミャンマーコミュニティの友人を通じ、SNSで「北海道に在住するミャンマー人労働者を助けてほしい」という切実な要請を受けた。浦崎氏は即座に東京にいるミャンマー語通訳者や、京極町のミャンマー人たちとSNSのグループを作成。オンラインで被害状況の把握に努め、一刻も早い保護が必要であると判断した。

この情報を受け取り、救出行動に出たのが、1974年に結成された札幌地域労組である。同労組は、過去にも花畑牧場でのベトナム人従業員の雇い止め問題や、栗山町のきのこ工場での不当解雇問題など、外国人労働者のトラブルを解決に導いてきた。

7月下旬、札幌地域労組の鈴木一顧問らは深夜、京極町へ車を走らせた。寮の部屋でおびえていた20歳のミャンマー人女性Cさんは、真夜中に鈴木氏が運転する車のヘッドライトを見たとき、「希望の光だ」と感じたと語っている。こうして19歳から30歳までの女性4人が脱出し、鈴木氏と繋がりのある札幌市内のキリスト教会に保護された。

ミャンマー料理を調理する女性たち(札幌市内の教会)

教会では家賃無料で食費も寄付でまかなわれ、彼女たちに安全な寝食の場が提供された。牧師によれば、保護された直後の彼女たちは「加害者と同じ日本人」である牧師に対しても強い警戒心を抱き、引きつった笑顔を見せていたという。しかし、1週間が経過する頃には次第に柔和な表情を取り戻し、支援者たちに対してミャンマーから持参した調味料を使った母国料理を振る舞うなど、20代の若者らしい素顔を見せるまでになった。

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