津波で“一艘だけ”助かった舟

(御厨神社・鈴木賢一郎宮司)
「これが当社に掲げられた絵馬でして、(津波で)一艘だけ(松の木に)引っかかった舟があったということで、上がった時の舟板に描いて、お宮が再建されたときに奉納した絵馬です」

1707年の宝永地震でも被害を受けて移転したというこの御厨神社。1854年の安政東海地震の時にも海岸近くにありましたが、津波の被害を受け、地震から13年後の1867年に内陸側に再建されました。この絵馬は安政東海地震の時、津波で一艘だけ舟が助かったことに感謝した舟の持ち主が、助かった舟の部材で絵馬を作って奉納したものです。

(鈴木宮司)「隣の村は土地ごと流されて、沖に島ができたり、岩が隆起したり、そんなことも伝わっています」

過去何度も起きた南海トラフ巨大地震の折々の被害を今に伝えるものが、数多く残されている豊橋市。では豊橋市はそれを市民の啓発にどのように生かしているのでしょうか。

(豊橋市防災危機管理課・齊藤昇課長補佐)
「豊橋市で作成を委託して作った『東三河地域における津波の歴史』。過去の津波の浸水、津波の歴史を伝える史跡」

では、実際の防災対策はどうなのか?29年前に起きた「阪神・淡路大震災」や、2024年の元日に起きた「能登半島地震」で、多くの人の命を奪った「家屋の倒壊」。豊橋市では20年ほど前から、「建物の耐震化」の促進に力を入れているといいます。

(豊橋市建築物安全推進課・中神秀和課長補佐)
「(豊橋市の)耐震化率は90%を超えている。木造住宅に関して旧耐震のものであれば無料相談が受けられるようになっています」

豊橋市では木造住宅の耐震化の無料相談だけでなく、工事費の80%を補助する制度を作っています。