そこで阿賀町は、“サルの専門家”波多野さんへのサル被害に対応する業務委託など、新潟県内の自治体で最大規模となる年間4300万円ほどの有害鳥獣対策費を今年度の予算に盛り込みました。
その中でひとつの柱となるのが、阿賀町の町民限定のアプリです。
農業被害を出すサルの位置が確認できる「サルの群れが分かる地図」です。

【阿賀町有害鳥獣係 江花一実さん】
「このアプリ上に、サルの群れがここにいるよという“位置情報”を表示していて、『今この位置にいるサルが次はここに行くんだよ』という行動予測がある程度できるようになっている」
アプリに表示されたサル顔のマークは「群れの直近の居場所」を、足跡のマークはこれまでの「移動経路」を示しています。
サルの位置を把握することで、住民は事前の対策がとれ、行政はサル捕獲の罠を効率的に設置できるようになります。

また阿賀町では、人里に降りてくる約30のサルの群れの全てに「GPSの首輪」を装着しています。他にもこのシステムを導入している自治体はありますが、これほどの規模は珍しいと阿賀町では言っています。
有害鳥獣対策を専門とするNPO団体に勤務していた“サルのスペシャリスト”波多野健治さんは、サル被害に悩む阿賀町から2015年に誘われ、阿賀町の「地域おこし協力隊員」になりました。
そして任期を終えた後も、自身の活動の拠点を阿賀町にしているそうです。

阿賀町では、波多野さんが地域おこし協力隊として赴任してから、サルへのGPSの取付作業は行なわれています。
波多野さんは、力の強いサルにGPSを取り付けるのに一般的な、コストと手間のかかる麻酔銃を使わないそうです。