今年、陸上短距離界に現れた大型スプリンター八戸学院大学3年の灰玉平侑吾(はいたまたいら・ゆうご)選手、20歳。大学まで全国大会すら無縁の選手でしたが、日本選手権で決勝に進出。驚異のスピードで成長を続ける新星を取材しました。
陸上競技の花形・男子100メートル、今年の日本選手権。青森県勢としては実に28年ぶりに、決勝の舞台でその名前がコールされました。
※会場アナウンス「八戸学院大学・灰玉平侑吾」
結果は10秒29で7位。表彰台に届きませんでしたが、国内トップレベルの選手たちが揃う中での入賞でした。
※八戸学院大 灰玉平侑吾 選手
「最後の1本だったので思いきり楽しもうと思いながら決勝に臨んだ。周りの選手は気にしないタイプですが、さすがに日本選手権の決勝は少し気になった。うれしさ半分、悔しさ半分です」

岩手県出身で、本格的に競技を始めたのは高校入学後。当時は自己ベストを出しても県大会で2位どまり、全国大会とは無縁でした。
「実家に近い」という理由で進学した八戸学院大も一般入試での入学で、牧場を営む実家から通いながらの競技生活です。

※八戸学院大 灰玉平侑吾選手
「(Q高校時代から今の自分を想像できる?)できないですね。10秒2台まで走れるとは高校時代思っていなかった」
2010年以降、日本選手権100メートルのファイナリストは40人いますが、高校で全国大会への出場経験がないのは灰玉平選手を含め2人だけ。そのためか日本選手権では…
※会場アナウンス「八戸学院大学・灰玉平(はいたまだいら)侑吾」
名前を間違って呼ばれる場面も。
※八戸学院大 灰玉平侑吾選手
「(Q名前呼び間違えられる?)なかなか本当の名字で呼ばれない。名字の知名度は上げられたかな」
大学入学時に10秒88だった自己ベストは10秒24に。100分の1秒の差で勝敗が決まる100mの世界において驚異的な成長ぶりです。そのわけを本人に聞いてみると…
※八戸学院大 灰玉平侑吾選手
「(実家で)犬を飼っているけど犬に追いかけられて速くなったのかな…小さいころ苦手で追いかけまわされて逃げていたのでそのおかげもあるかなと思います」
冗談めかして話しますが、成長の原点には187センチの長身を生かすための自己分析と成長への強い意志にあります。

※八戸学院大 灰玉平侑吾 選手
「自分のフォームをとにかく動画でスロー再生などして分析して、トップ選手に共通している部分を習得できるように練習していたら速くなった。ボルト選手のような体の使い方ができればもっと速くなると思います」

指導する木村浩哉監督もこうした地道な努力を高く評価します。
※八戸学院大 木村浩哉 監督
「自分で繰り返し繰り返し練習したことが大きい。日々の努力の積み重ねが大学に行ってからでも記録が伸びることを示してくれた」

今シーズンの目標は日本インカレで学生の頂点に立つことと、10秒1台の自己ベスト更新。そしてその先にはさらなる未来を描きます。
※八戸学院大 灰玉平侑吾 選手
「日本代表としてオリンピックに出場したい。10秒1、10秒0、9秒台とどんどんステップアップしていければいい」

陸上界、そして全国に「灰玉平(はいたまたいら)」という名を轟かせるため走り続けます。

灰玉平選手の次の大会は7月1日に行われる実業団・学生対抗を予定しています。