この「飲食店をやってみたい方、店をさしあげます」というチラシ。一風変わった方法で、後継者を探して話題になったのが弘前市のカフェ・ブルーエイトです。このほど、店の鍵を渡して代替わりをしました。最後に店主が残した言葉とは…

「37年間ありがとうございます。4月20日で老夫婦はさよならします」
このチラシを書いたのは角田隆美(かくた・たかよし)さん76歳です。

37年間、角田さんが経営してきたのが学生の街・弘前市を代表するカフェの一つ、ブルーエイトです。体力の衰えを感じた角田さんはブルーエイトを次の店主へ託すことを決め、21日店の鍵を渡しました。

※ブルーエイト 角田隆美店主(76)
「これでここはあなたのものです。頑張ってください」
※ブルーエイト 新店主 支倉美和子さん(51)
「頑張ります。マスターも元気で」

角田さんが新店主の募集を始めたのは去年12月、その方法は一風変わっていました。
「飲食店をやってみたい方ブルーエイトをさしあげます」

※角田隆美 店主(今年1月の取材当時)
「いい加減もう75歳なので今年は76歳。これ以上働いても体に無理してやっていても人生短いから、ちょっと楽しもうということで思い切ってあげてしまおうと」

角田さんは1986年に店主になってから様々なレシピを考えました。なかでも人気が高いのはパフェで、「これぞ学生時代の思い出の味!」という弘前市民は多くいます。

そのブルーエイトを受け継ぐことになったのは弘前市の支倉美和子さん51歳です。店に通い詰めて角田さんから約80種類のレシピを教わりました。

※ブルーエイト 新店主 支倉美和子さん
「(店に)昔来ていたので、“私がやりたい”と思いながら面接受けました。びっくりしました。すぐ連絡来たので。私にまさか来ると思ってなかった。びっくりしました。まじで?って」

迎えた営業最終日の20日、店内はお客さんから贈られた花で溢れていました。そして午後4時半頃、最後の1人が店をあとにします。

※最後の客(元アルバイトの女性)
「すごくお世話になって、ずっと元気でいてくれると思っていたので、このニュースを見たときはショック。夫婦でゆっくり楽しく暮らしていってくれれば思ってます」


がらんと静まり返った店内。実は、店を閉じる前のこの瞬間を角田さんは待っていました。
