いま、急速に進む物価高騰などで県内企業の経営環境は厳しさを増しています。こうしたなか、青森県八戸市内でスーパーを運営する「やまはる」は、デジタル化による販路拡大に活路を見出そうとしています。

お歳暮の発注で活気づくスーパー。八戸市内で、青果を中心に生鮮食料品を取り扱い、4店舗を運営する「やまはる」です。
店がいま、力を入れているのが、デジタル化です。


※竹島記者
「目玉商品を大きく載せたチラシ。こちらの店舗では、SNSを使って携帯へ直接情報発信することにも力を入れています」


12月12日からLINEを使ってお歳暮の予約ができる新たなサービスを開始。専用フォームで商品や配送先を入力して注文できるようにしました。店側は、こうしたデジタル化で業務を効率化しながら新たな顧客の獲得を図っています。
※やまはる 中野正信社長
「我々は店舗も小さいし、店舗数も少ないので、お客様が喜びそうなものを、ピンポイントにお客様のスマホへ発信するのが強み。中小企業でやらないといけないことだと思う」

やまはるが、LINEを使ったサービスを充実させるようになったのは2019年です。ただ、当初は思うような効果が上がらなかったうえ、店側の経営環境も物価高騰などで悪化。経費削減のためにサービスの停止を検討しました。
※やまはる 中野正信社長
「中小企業で限られた広告の予算のなかでお客様へどう伝えるのかというのがあり、予算の経費削減・見直しもしながらやっていこうとなった」



やまはるは2022年6月、サービスの提供元である神奈川県のITベンチャー企業、エボラニへ契約打ち切りを伝えます。これに対して、エボラニは、異例の対応をとりました。創業当初からの顧客だったやまはるを支援するため、8月にプロジェクトチームを立ち上げました。チームに参加している社員は、15人にものぼります。


※エボラニ ソウ・ユ代表
「自分たちもいままで多くの苦難を経験してきました。毎回、誰かに助けられることにより、いまも生きている。地方の中小企業が徐々に大手に負けてしまうところを、一社でも助かるのならば、我々の社会的責任をはたせると考え、(チーム発足を)社内に呼びかけました」

プロジェクトチームはこの秋、ハロウィーン特別企画を計画。LINE公式アカウントでやまはるの友達になって買い物をした人は豪華景品が当たるクジに挑戦できるようにしました。
さらに、お歳暮商戦にあわせて専用の予約フォームを開設することになり、やまはるとエボラニは打ち合わせをくり返しました。
※やまはる 中野正信社長
「ここに関しては漢字にした方がいいと言ったけど、変えなくてもいいのかなと思いました」
※エボラニ担当者
「全体がポップなデザインにしているので」


お歳暮のLINE予約は順調にスタート。こうしたエボラニの支援により現在、やまはるLINE公式アカウントの友だちの数は約4100となり、プロジェクトが始まる前の7月下旬から1500以上増え1.6倍にまで伸びました。
※やまはる 中野正信社長
「お客様の趣味・ライフスタイルが多様化しているので、我々も多様な方法でやまはるの魅力をいろんな方へ伝わるようにしていく必要があるので、これまで以上にインスタグラム・フェイスブック・LINEで美味しいものをやまはるから伝えられると思うので強化していきたい」
やまはるは、エボラニからの特別支援を受けながら、地域に根差した中小スーパーの活路をSNSに見出そうとしています。
