夜間にドライバーから歩行者がどう見えるのかを実験した映像。車のライトをハイビームにしているときは、見えやすかった歩行者もロービームにすると見えづらくなりました。こうした視界の悪さで起こりやすくなるのが交通事故です。夕暮れと夜間の再現実験での検証と事故にあわないための対策を取材しました。

ハイビームにしたとき
ロービームのとき


日を追うごとに日没の時間が早まる今の時期。午後5時を過ぎると夜道を帰宅する人が増えるため、事故が起きる危険性が高まります。


※青森県警察本部交通企画課 石田利也課長
「去年は10月から12月の3か月で年間死者の約半数にあたる14人が亡くなられている。事故が発生しやすいのは夕暮から夜間にかけての時間帯であり、その理由としては日中に比べて夜間は視認性が非常に悪いことが一番にあげられる」


夕暮れから夜間にかけて、ドライバーから歩行者がどのように見えるのか。青森県警察本部交通企画課の協力もと、再現実験で検証しました。40m離れた場所から道路に置いたパイロン5本を見たときの映像では、パイロンには色がついていますが、黒と緑は見えづらくなっています。そこで、ライトをハイビームにしてみますが…


※交通企画課高齢者交通安全対策室 若松宏一係長
「ハイビームに切り替えますと黒以外はしっかり見えると思う。黒はここまで近づいても道路に同化してしまって見えづらいのが分かると思います」


こうした見えづらさは、事故を起こす大きな要因となります。2020年までの5年間の死亡事故を分析すると、午後4時から午後8時までの発生件数がきわめて多く、全体の3割を超えています。


実際に、横断歩道を黒い服装で歩いている人が20メートル離れた場所からどのように見えるかを確かめてみます。

横断歩道を黒い服装で歩いている人が見えますか?


※交通企画課高齢者交通安全対策室 若松宏一係長
「見えづらいですよね。車が走っている状態であれば、ゆっくり歩いていると今以上に見えづらい」

そして、気が付いたときには。


※交通企画課高齢者交通安全対策室 若松宏一係長
「20メートル離れた地点で時速60キロで走っているともうブレーキを踏んでも止まりません。衝突してしまいます」


このため、青森県警が歩行者に推奨しているのが反射材を身につけること。こうすれば、ドライバーへ遠く離れた場所からでも存在をしっかりとアピールできます。


試しに、反射材をつけた人とつけていない人が並んで立つとその差は一目瞭然です。


※交通企画課高齢者交通安全対策室 若松宏一係長
「反射材をつけているとなにかがいるな、誰かが立っているなというのが分かるかと思います」

こうした反射材をつけた商品は、年々、充実してきています。青森市の靴店では。

※レポート 浅水友輝記者
「こちらの商品は、このように歩くと光る仕組みとなっています」


靴にライトが内蔵されたもののほかにも、デザインのアクセントとして白色の反射材をあしらったものなど様々な商品が取り揃えられています。


※シュープラザイオンタウン青森浜田店 中里峻店長
「メンズレディースあわせて20種類くらい。2~3年はこの反射材をメインに取り扱うのも増えているので、商品の種類もかなり増えてきています。今の時期からご用意する方が多いので、多く売れています」


青森県内で今年、これまでに25人が交通事故で亡くなっていますが、このうち午後4時から8時までに発生した事故は10人で全体の4割にのぼっています。


※青森県警察本部交通企画課 石田利也課長
「ドライバーの皆さんにはライトの早め点灯、ハイビームの励行、歩行者の皆さんには反射材の着用、このような明るい服を着るなどを心がけていただき、交通事故に十分に注意してほしい」


ちょっとした心がけと対策で夕暮れと夜間の事故は起こさない、そして、事故にあわないようにすることができます。


これから冬場、雪が積もると靴についた反射材は隠れやすくなるため、反射材のテープやバッジをバックにつけることも効果的だということです。