社会人が仕事と両立して活動できる劇団

劇団路地裏には「社会問題に対する独自のメッセージを発信すること」ともう一つ、コンセプトがあります。それは「社会人が仕事をしながらでも活動できる」ということです。プロデューサーの河村さんです。

劇団路地裏のプロデューサー・河村雅人さん
「元々のきっかけとしては、社会のキャリアを捨てて役者一本でやろうとする人がすごく多くて、それが年重ねていくことに、本当にこの人にとって人生これで幸せになれるのかなという疑問がずっとある中で、社会人が人生のキャリアを捨てずに無理せずにやり続けられる劇団というものを作りたいと考えたのが一番最初です」

そのため、今回のチームはみんなが集まれる週1回の稽古で、お披露目まで2年を要したそうです。しかも団員の皆さんは舞台経験がある人もいれば、ない人もいる。全体のレベルを底上げするためにどんなことをしたのでしょうか。今回、座長を務めた岡村俊佑さんです。

座長の岡村俊佑さん
「週に1回の稽古でやっぱり時間が取れない分、その1回の濃さってすごく大事だなと思っていまして、でも、お芝居をまだ始めたての人がいたりとか、まだ経験ない子がいる中で、そういう人たちに楽しんでもらいながら、どうやったら成長できるのかとか、そういうところは結構考えたりしていて、発声のやり方だったり、お芝居をする上での動きとか感情の流れとか、そういうところを自分が教えられるところは一人一人向き合ってやっていました」

劇団路地裏は「若い世代に社会問題を知ってもらいたい」という思いから、劇場公演だけでなく学校や施設での出張公演の準備も進めているそうです。プロデューサーの河村さんは「微力ですが、社会問題を知ってもらうということで変わっていく社会・世界もあるなと思っていて、問題を認知することで社会が良くなっていくということを劇団路地裏ではやっていきたい」と話しています。

なお次回作は、家族の世話や家事を日常的に子どもが行う「ヤングケアラー」がテーマで、今年の夏以降の公演を目指しているということです。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当・進藤誠人)