
永松康志さん
「ハラスメントはいけないことだっていうのは、多分みんな思っている。でも、それがハラスメントになっていることに気づいていないっていうのは、みんな共感するというか、みんな自分を見つめ直せばどこかで発見できるんじゃないかなというところがあって、自分がどういうことをやっているかっていうのを、ちょっとでも考えてもらえればいいなと思いました」
重原佳苗さん
「ハラスメントっていう言葉って、受けた側がちょっとでも嫌な気持ちがあるっていうのがあっての言葉だと思うので、一人一人されて嫌なことは違うので、そういう意味ではちゃんと人と向き合うことはとても大切なんだなと感じました」
中井晴輝さん
「僕は今回、トランスジェンダーに関してのハラスメントを受けた側の役を演じたんですけれども、僕自身もトランスジェンダーで、非常に共感するところがありすぎたので、熱意がかなり入ってこだわりたい部分もかなりありました」
性別に基づく差別や嫌がらせを「ジェンダー・ハラスメント」といいますが、作品の中では、体毛を気にする男子児童のことを「女の子じゃあるまいし」と言ったり、「男だから体力仕事、女は細かな仕事」といったジェンダーに気を使わない周りの先生に「だから日本は遅れている!」と怒る場面がありました。
そして、劇団路地裏のプロデューサー・河村雅人さんもこの作品についてこう話します。

劇団路地裏のプロデューサー・河村雅人さん
「被害者感情というのは人間は誰しも強いので、いつでもパッと出てくるんですけど、自分が加害者になったことってあんまり自分で考えたくないから、なかなかそこに意識が向かない。そこに意識を向くことで自分が加害者になることを防げる。もしかしたら自分も加害者であるし、自分で蓋してしまっているところを、ちょっと気づいてもらえるような作品になったらいいなと」
この作品の脚本・演出を担当したのは、獅城けいさん。獅城さんは、子どもの頃に家族から性的虐待を受けたことがあり、今も虐待を受けている人や後遺症に悩む人への支援活動をされています。

脚本・演出の獅城けいさん
「人に嫌がらせをしてしまうんだけれども、その根っこにある言動の部分っていうのが、自分にとっては自分を守るような防衛とか、自分のことが本当に大切だから起こってしまうようなものがあるんですよね。ただそれが他の人の世界の中では困るような行為になってしまうので、それを天秤にかけた時にどっちを捨てるのかということで、仮面を捨てるという判断になるとか、そういったところは見てくださる方の何か心に響くかなと考えました」
作品のタイトルにもある「仮面」。作品の中では、自分と向き合うことで仮面をつけた加害者側の自分に気付き、その仮面を捨てるというシーンがあります。獅城さんは、これまでの自身の経験からそういった自分と心から向き合うことが必要だと話します。
そして、舞台を見たお客さんの感想です。
・「自分も教員をしているので、仕事場でもしっかりと考えて行動したい」
・「表面的な解決だけでなく、被害者にも加害者にも寄り添った作品だと思った」
・「ハラスメントと受け取るか、指導の範囲なのかは、人それぞれだなと思った」
こういった声がありました。