青葉被告を治療した医師「医療従事者を物理的・精神的な被害から守るのも必要」

 一方、3年前、大阪の近大病院で青葉真司被告の治療にあたった鳥取大学病院の上田敬博教授(50)が当時の状況を語りました。搬送されてきた青葉被告は、全身の9割以上に重度のやけどを負い、予測死亡率95%という状態だったといいます。

 (上田敬博教授)
 「言い訳じゃないですけど、亡くなったとか死亡退院した時にどういう対応をしようかということをむしろ考えていたかもしれません」

 上田教授は、わずかに残った皮膚を培養して移植するなど計12回の手術を行いました。数か月にわたる治療中は、休みが取れない肉体的な負担に加え、精神的なストレスや葛藤にも悩まされたといいます。

 (上田敬博教授)
 「もし助けられなかった時に責められる可能性もありますし。どっちに転んでも責められるんだろうなと思いながら治療していました」

 上田教授が当時書いた日記では、事件から1か月後、こんな心境が綴られていました。

 (上田教授の2019年8月某日の日記より)
 『起床時 からだが重い 動きにくいのが明らかにわかる』
 『体がリカバーしていない』

 心身ともに疲弊しきった状態で治療を続けていたことが伺えます。

 (上田敬博教授)
 「今も主治医チームと連絡を取り合っていますけれども、運よく、メンタルが壊れた子は出てきていない。ただそれは運がいいだけ。加害者や被疑者を治療するにあたって、医療従事者を物理的に守る危害から守るというのも必要ですし、ひぼう中傷とか精神的な被害から守るのも必要だと思うんですけれども、そういうのは何も整備されていないわけですよね」

 上田教授は青葉被告の現在の状態を把握していませんが、「皮膚移植の合併症が出てくる時期」だといいます。

 (上田敬博教授)
 「(Q移植した皮膚がひきつれて動かなくなる?)そうですね」

 関節が動かなくなったり日常生活に支障が出た場合は再手術も必要だといいます。

 今後、刑事裁判に出廷することになる青葉被告。上田教授は祈るような気持ちでその時を待っています。

 (上田敬博教授)
 「彼に対する治療や医療行為で(罪に)向き合ってほしいという気持ちは伝えたはずなんですね。それが彼に伝わって、司法の場でちゃんと向き合うということをやってくれるのか、その姿勢が届いているのかというのは、やはり確認をしたいと思いますし、(自分の気持ちが)届いていてほしいと思います」