がれき撤去開始 復興のきざしも

石川県珠洲市の宝立町は、復旧に向けて動き出した。

膳場貴子キャスター:
「発災の2日後に、初めてこちらの地域に来たんですけれども、そのときはこの道をふさぐようにこの瓦屋根がね、せり出してましたよね」

珠洲市では5500棟を超える建物が被害を受け、倒壊した家屋のがれきが道路を寸断していたが、少しづつその撤去が始まっていた。

沿岸部は最大で4.7mの津波が襲ったとみられる。被害が大きかった集落は…

膳場キャスター:
「家の点検と捜索はすんでいるようですけれども、全くここの道路とか見てると手つかずな状態ですね」

市は今週、住民の許可が得られた地区から道路を塞ぐ瓦礫の撤去作業を開始した。

思い出の品も一緒に廃棄されることに胸を痛める女性がいる。美容師の岸田孝子さん。建物の中には成人を迎える客から預かった9枚の着物が残されているという。

――タイミング的にちょうど成人式前でしたね

岸田孝子さん
「7日が成人式だったので」

事前に記念写真の撮影を終え、双子の姉妹が成人式に着ていくはずだった振袖。ボランティアの人たちが全ての着物を取り出した。

岸田孝子さん
「お袖はぼろぼろになっちゃたんですけど、これ1枚1枚皆さん、この着物を、おばあちゃんとかお父さんお母さん全員でみんなで見に行って、どの着物が似合うかって選んで思い入れのある着物なんで」

大事なものも廃棄されている。

岸田孝子さん
「ブルドーザーで全部(道路を)開けてしまうのがすごい心痛いというか。みんな2次避難で行っちゃっているから掃除できないし、取り出せないまま、どうなってるかというのは分からないけど、がれきじゃないんですよね」

岸田さんは、知人に場所を借りて無料のヘアカットサービスを始めたが、本格的な再開を妨げているものがあるという。

岸田孝子さん
「水ですね。もう水です。水がない、水が来ないっていうのが一番」

珠洲市ではほぼ全域で断水が続いているため軒下にバケツを並べ、掃除やトイレ用に雨水を貯めて凌いでいる。

岸田孝子さん
「もう水が貴重品なんで、全部無駄にしないようにしてます」