電気は復旧も…いまだに断水続く

輪島市・鵠巣地区。一時、700人以上が孤立したが、それが解消されたあとも断水は続いている。

地震から9日後、私たちはここで70代の麻窪さん夫婦と出会った。電気が通っていない真っ暗な自宅で、寒さに震え毛布にくるまっていた。1月30日、再び訪ねると自宅には電気が通っていた。
麻窪信子さん
「まだここで寝ているんですよ」

暗闇の中、夫婦身を寄せ合っていた部屋にも照明がついた。
――これ地震のとき全部倒れたんですか?
麻窪泰彦さん
「そう、全部バラバラになって、それを全部元に戻した」
食事も以前はストーブで沸かしたお湯でカップ麺を食べていたが、この日はIHで加熱したレトルトのカレー。米を研いだり、炊いたりする水は、溜めていた湧き水を使っている。

――このままこの生活が続く不安はないですか?
麻窪泰彦さん
「とにかく水が来てくれれば、洗濯とか炊事も楽になるし。問題はお風呂やね」
入浴の代わりにせめて被災者に洗髪を、と奔走している人がいる。鵠巣地区に住む美容師の高響子さんだ。

高響子さん
「軽くでもシャンプーしてあげることが、ちょっと癒しになるじゃないですか」
ここでも壁になるのが断水の問題。高さんはきれいな水を汲むため、店から4km離れた山へ向かった。
高響子さん
「すごい綺麗な、透明度の高い色をしてて」
湧き水40リットル以上を車に積み込んだ。汲んだ水は電気ポットやストーブで温め、適温になるまで調節。
この日、店を訪れた境谷桂さん。介護施設で管理栄養士をしている。

管理栄養士 境谷桂さん
「なかなかこの水関係の美容の仕事って復活できない状態で、みんな化粧もしないし、顔を洗うのもやっとの中で、みんな関係なく老け込んでいく中で、ちょっと気持ちだけでも、何かさっぱりしたいっていうか元の生活に一つでも、戻りたいみたいな、そんな気持ちですかね」
境谷さんは地震のあった元日から仕事をしているが、断水でシャンプーもままならない日が続いていたという。

境谷桂さん
「地震起こってから初めて頭洗ったとき、井戸水で、外で家族みんなで井戸水汲んできて。水のまま玄関先で(洗った)。寒かったけどね、しょうがないから、頭だけでも洗うかって言って」
洗髪を終えた境谷さんは、笑顔を見せていた。
境谷桂さん
「なんかちょっと気持ちが若くなりました。また頑張れる」
輪島市では2月末から3月末までに断水の解消を目指している。