「ウクライナは領土の20%を失うことは痛みを伴うだろうが許容できる代償」
現在西側の支援が続いている状態でも戦況は厳しくウクライナは圧倒的に不利な立場だ。この状態でアメリカの支援が無くなればヨーロッパだけでウクライナを支えきれないことは明らかだ。トランプ氏の言った「24時間以内に戦争を終わらせる」が現実味を持ってきた中、果たしてどう終わらせるつもりなのか?
アメリカでウクライナへの武器の支援に反対してきたシンクタンクによると、“24時間以内”は無理としても、トランプ氏がただ大口を叩いているわけではないという。

アメリカ『クインシー研究所』アナトール・リーベン氏
「アメリカは軍事援助の大部分を提供し、ウクライナの予算全般の非常に多くな部分を賄っていることから和解を受け入れさせる手段を(アメリカ大統領が)持っていることは明らかだ。(中略)ウクライナが恐れているのはトランプ氏が事実上ウクライナにロシアの条件を受け入れさせることだ。(説得材料として)ウクライナはすでに大きな勝利を収めているということ。つまりプーチンがウクライナに侵攻した時(彼が考えていたのは)ウクライナの大部分を征服し、ゼレンスキー政権を交代させウクライナを再びロシアにすることだった。しかしそれは西側の多大な援助があったとはいえ、ウクライナ人たちによって打ち破られるのだ。ウクライナは領土の20%を失うことは痛みを伴うだろうが許容できる代償だろう。(中略)ロシアはウクライナの4倍の人口と14倍の経済力を持っている。ウクライナで大勢のウクライナ人が命を落とし危険にさらされているのであれば(支援する側は)少なくとも(停戦を検討する)道徳的な勇気を示すべきだと思う。この戦争は長引くほど奇跡でも起こらない限り、例えばプーチンが死ぬようなことがない限り事態は変わらないだろう…」
要約すればアメリカが支援をやめれば大国ロシアに勝てるわけないんだから多少の国土を諦めて停戦に応じろと説得するということのようだが、平野高志氏は、ありえないという。
『ウクルインフォルム』編集者 平野高志氏
「20%は痛みはあるが許容だというのはウクライナの人たちは全く共有しない理解。2014年に最初にロシアがクリミアとドンパスを占領して停戦したけれど、それを反故にする形で今回侵攻してきた。20%はあの時より痛みは大きい…」
一方、小泉悠氏はロシア側から考えてもリーベン氏の読みは見当違いだと話す…。
東京大学先端科学技術研究センター 小泉悠 准教授
「アメリカから出てくる停戦論は“20%の土地を与えればプーチンが戦争をやめる”って前提なんですよ。でもリーベン氏も言っている通りプーチンの目標はウクライナを属国とすることで、彼がその戦略目標を諦めたなんて兆候は何もない。そのプーチンに“アメリカは支援辞めます”って言ったら私がプーチンだったら戦争やめないですよ。ウクライナに圧力をかければ、それがプーチンに伝わって戦争が止まるっていうメカニズムがわからない…」
(BS-TBS『報道1930』1月29日放送より)