人口の減少が深刻な松本市奈川(ながわ)地区。
過疎化に歯止めをかけようとある組織が立ち上がりました。
その先頭に立つのは、耕作放棄地の再生を手がけてきた1人の男性です。
松本市奈川地区。
1月30日、農業の活性化と雇用の創出を目指すNPO法人「あぐり奈川」が産声を上げました。
田中浩二理事長:
「農業を通じて深刻な奈川地区の過疎化を止めたい人口を増やしたい」
「農業を通して雇用が生まれるような環境を作っていきたい」
理事長に就任した田中浩二(たなか・こうじ)さん60歳。
目指すのは、新たな農業の形=「奈川モデル」を作ることです。
郷土料理=とうじそばの発祥の地とされる奈川地区。
信州を代表するそばや、豊かな自然を生かして観光立村を目指してきました。

しかし、松本市の山あいに位置する地区の過疎と高齢化は深刻さを増しています。
お年寄り:
「昔みたいにうまくいかんな」
「若い衆はみんな出ていくし、だんだん年寄りっきりになってくる」
全国の自治体が「平成の合併」の渦に巻き込まれていた19年前。
かつての奈川村は、周辺の1市4村での合併を選択し、松本市になりました。
当時、村の人口は1040人。
明るい将来を夢見た住民たちに、その後、厳しい現実が突きつけられます。

人口は年を追うごとに減少し、1月時点で、564人。
この20年近くでほぼ半数にまで減りました。
休園を余儀なくされた保育園。
子どもたちの声は消えたままです。