MLB・ドジャースはバッテリーとリハビリ組が日本時間10日、野手組が14日にキャンプイン。今オフエンゼルスから移籍した大谷翔平(29)やプロ野球・オリックスから移籍の山本由伸(25)がいよいよ本格的に始動する。今季注目のドジャースについて、元メジャーリーガーで同球団OBの斎藤隆氏(53)、レイズ時代にワールドシリーズに出場した岩村明憲氏(44)に聞いた。
記者:
大谷選手がドジャースに移籍されたことって、チームのOBとしてどう感じますか

斎藤隆氏(ドジャースなど5球団に所属):
やっぱり名門ドジャースのユニホームを大谷選手が着るというのは、OBの私のみならず、皆さん非常に楽しみにされているのではないかなと思います。もう御存じのようにもう地区優勝とか、リーグチャンピオンというのは、もう当たり前のように獲っています。取らなければいけないチームだと。
今までと違った大谷翔平というバッターが見れる可能性は高い
記者:
去年はア・リーグホームラン王に輝いていますけど、また別のリーグで何本ぐらい打つとか、どれくらいの成績を残されると
斎藤氏:
日本と違って、交流戦のような形で非常に対戦が多い。あるいは情報も非常に多いということで、ある程度の数字はほぼ同じ状況で出てくるのではなかろうか、あるいはそれを超えてもおかしくはないんじゃないかなというイメージはできますね。
エンゼルスの場合は補強した選手がちょっと怪我をしたり、トラウトが故障がちでいなかったりということで、大谷選手の前後にいいバッターがいなかった中で、あれだけの数字を残してきたという現状と、ドジャースに入ってからは、彼の調子の善し悪し関係なく、前後に素晴らしい選手がたくさんぐっと周りを固めてくれる。そうなると考えられるのは、状況によっては非常に大谷選手に有利に働くように見えるんですが、チームバッティングみたいなのを彼が少しずつ取り入れていくと、長打なんかは自ずと減ってしまったり、状況を考えるバッティングを求められる、あるいは自分がそれをしようとしてしまうと、数字の部分では少しエンゼルスと違った形の大谷翔平っていうバッターの良さがまた出てくるんじゃないかなという期待もありますよね。
記者:
チームバッティングって言うと、やっぱり増えるのは打点とかそういうところになってくる。
斎藤氏:
ドジャースは確かに強いですから、かなり一方的にリードする時、そういう時は長打狙いで行けると思いますが、逆に接戦をどうやって取っていくかというところが、シーズン100勝ないし、それ以上を目標にしているドジャース、それでいて1発勝負のプレーオフとか、ワールドシリーズというところに行った時の彼の打撃っていうのは、その多様性といいますか、さまざまな幅を見せるんだと思うんですね。あまり野球を御存じない大谷選手のファンも、今までと違ったような大谷翔平というバッターが見れる可能性は高いかなと思いますね。
岩村明憲氏(レイズなど3球団に所属):
自分もチームが変わったときは何回か経験をしたんですけど、チームが変わるというときに(チームの)入り方がすごく難しかったなと僕も経験してます。大谷選手の空気感でプレイしてくれればいいんじゃないかなと思いますね。
記者:
岩村さんは何度かチームが変わっていますが、戸惑ったことはありましたか

岩村氏:
自分が失敗したことでもあるんですけど、考えすぎたなってことはすごくありますね。期待をされているというのは自分でもわかりますしね。その時に自分のやらないといけないという風に考えてすぎてしまいますとですね、パフォーマンスがどうしても出し切れないというところはありますね。どうしても日本人ですからね、住めば都で慣れて来ている部分のところ、新たなところに移ってそこで生活していくっていうのは、野球をする以前の問題でストレスがかかる部分はやっぱりあります。
記者:
大谷選手は今季、右ひじ手術の影響でバッティングに専念しますが成績は伸びるものですか
岩村氏:
バッティングに専念したからといって成績が伸びるかというとそういうわけではないとは思うんですよ。大谷選手のルーティンの中に投げて打つというねところが入ってますし、これは一つのリズムではあると思います。打者だけでプレイできてその間に同時進行でリハビリを行うことができるというのはモチベーション保つ意味ではまだいいのかなと思います。
記者:
今年もケガはそんなに影響はなさそうですか
岩村氏:
影響はないとおもいますね。言葉で言えば怪我の功名ですよね。そういった言葉の中でよりパワーアップして大谷翔平という選手がまた帰ってくるんじゃないかと思います。
記者:
ドジャースタジアムの特徴は何かありますか
岩村氏:
打席はすごくいいと思います。ただ昼と夜でカルフォルニア特有の部分があるかもしれないですが、少しボールの飛びが湿気の部分だったりするんですけども、そういったところで夜(ナイター)になると少し落ちるんじゃないかなと思いますけどね。
記者:
夜(ナイター)になるとどうなるんですか
岩村氏:
ボールが少し飛ばないというか。本当にもう数mですけども、若干影響はあるような感じはしますけどもね。同じカリフォルニアでも例えばサンフランシスコであったり、オークランドだったりといったところもですね。やっぱりデイゲーム、ナイトゲームでは、やっぱりボールの飛びって違ったのは、僕は感じてました。
メジャー挑戦の山本由伸投手「普通に15勝ぐらいするんじゃないかな」
記者:
新しくメジャーという舞台に行く山本由伸選手ですけど、メジャーではどのような活躍を期待されますかね

斎藤氏:
もう実力的にはね。私が何か言うようなもうレベルをとっくに超えてる素晴らしいピッチャーだと思うので、スキルに関しては全然問題ないと思いますね。一番やっぱり心配なのは、中4日でローテーションを守って、最後のワールドシリーズを最後のところまでずっと自分の体調を維持していくということ。これにただただ集中していてくれれば、もう本当にいい結果が待っているんじゃないかなと思いますけどね。
記者:
斎藤さんから見て、山本投手のピッチングの一番の武器は
斎藤氏:
やっぱり見た目のピッチングフォームと実際に放たれるボールのギャップといいますかね。その差が非常に大きいのではないかなと思いますね。アメリカの選手達はやっぱり力もありますし、タイミングが合いだすと本当に簡単にどんどんと力で持っていかれますから、そういう意味ではいかに力勝負ではなくて、そのキレ勝負、ほんのちょっとバットの芯をずらすような、どれぐらいを自分でそれができるかというところだと思うんで、特にやっぱり変化球カーブなんかはもう注目されてますけど、そういったところが大きくバッターに通用していくようであれば大きな武器になると思いますけどね。
斎藤氏:
カーブは1度視界から消えるというんでしょうか、バッターが大体こう目線をこの辺に合わせてると、カーブだけは唯一、一瞬上に身体というか眼というか、グッとしないと見えないようなボールだと思うんですね。これを狙い球の中に入れてしまうと、他のボールが今度また対応しきれなくなるので、日本のバッターは結局このボールが一番邪魔だったんだと思うんです。これはどのピッチャーに対してもそう言えるんですが、彼のボールに関して言うと、そのカーブの落差といいますか、抜け加減というんでしょうか。その加減がやっぱりもう球界イチと言っても過言ではないぐらいのボールですよね。キャッチャーがカーブのサインばかり出して、逆に無駄遣いすんなよって言いたくなるぐらい。
岩村氏:
いや、もうすべての球が1級品ですよね。もう本当に超が付くぐらいの1級品ですよね。なのでもちろんファストボール(直球)だけではなくてですね。大きなカーブがあったり、フォークがあったりですね。でも、その他の球もやはり素晴らしいので、それでカウントが取れて、しかもなおかつ空振りも取れるというカウント球にもなって勝負球にもなるというところ。バッターからするとすごく絞りづらいところですね。プラスモーションですかね。足を上げないモーションの中でいうと、やっぱタイミングが取りづらいところはあると思うんですね。
岩村氏:
自分のピッチングに集中して少し余裕を持った中で行けば問題ないと思いますし、僕は1年目で普通に15勝ぐらいするんじゃないかなって思ってますけどね。もちろん怪我次第ですね。怪我がなければというのもありますしね。あとはもうマウンドに慣れて、そのマウンドでずっと使い続けること中4日から中5日でもあると思うんですけども、そこで自分の例えば体のチェックもしながら、1年間戦う体を作ってほしいなと思いますね。