能登は“往来自粛”の最中だが…「あれ以上待てない」


発災から9日目、南志見地区には県議会議員の吉田修さんの姿がありました。

吉田修 県議会議員
「(地元の)県議は被災していると思うので私が野々市から代わりに来たと言うと、“お前の言うことなんか聞けるか”って」

妻は南志見出身。自力で現地から避難した甥たちに会って、孤立集落へ向かうことを決めました。県が能登への不要不急の往来を控えるよう呼びかける中でした。

吉田修 県議会議員
「甥は1月6日まで歯も磨いてない顔も洗ってない、手も洗ってない、水がなかったから。“とりあえず歯ブラシと歯磨き粉が欲しい”と。あれ以上、こちらで待っているのはできないんだろうなと」

避難所で目の当たりにしたのは衛生環境の悪さ。


吉田修 県議会議員
「300人から350人くらい2か所に分けて入っているけど、どこでも触ったところ毎日みんなで徹底的に掃除をする。各家家からもってきた消毒液がそこを尽きたので消毒液がほしいと」

吉田さんは地域コミュニティごと、まとまった避難先を用意するよう、現地から県に働きかけます。この要望はちょうどその頃、2次避難を呼びかけていた県側の思惑とも一致しました。

その夜、吉田さんは住民の説得に当たります。

吉田修 県議会議員
「ペット…犬とか猫とかいるんですけど、一緒に避難できるのか?と聞かれた。私の判断でペットも一緒に避難できますよと言ってしまった」


“あす朝までに荷物をまとめて地元を離れてほしい”
急な要請に住民たちは…。

南志見分団 小西昌貴 消防団員
「南志見全体を運ぶぞって流れは…ちょっと、急転直下過ぎて」
南志見公民館 濵髙元一 館長
「一晩みんな寝れんかった、いろんな思いがあって。でも次の日になったらやっぱり“行く”って。みんなで行こうという風になりました」