寒くなると多くの虫は冬眠して活動が減りますが、人間の住環境の変化などによって、1年中活動する虫も見受けられます。

その中に、本や穀物粉などで見られる「チャタテムシ」という虫がいます。

放っておけばアレルギーの原因に繋がるチャタテムシの効果的な対策法とは?

コナチャタテムシ科の一種(提供:日本ペストコントロール協会)

【エアコンのカビを食べて繁殖「最後まで残るのはチャタテムシ」】

チャタテムシは高温多湿の条件の下、活動が活発になります。そのため、冬場は基本的に見かけることは多くありませんが、湿度や温度を一定にしている場所では多く発生することがあります。

提供:北陸環境衛生

石川県金沢市に本社を置く害虫駆除などを専門に行う「北陸環境衛生」では、今年の1月、能美市内の工場を調査した際、大量のチャタテムシを確認しました。

北陸環境衛生 谷内政樹業務部長「弊社では食品工場や医薬品の工場などで昆虫調査を行っています。どんなに清潔にしていても『最後に残るのはチャタテムシ』というほど、制御するのが難しい虫です」

以前は梅雨から初夏にかけて発生していたチャタテムシですが、温暖化によって気温の高い日が秋になっても続くようになり、近年では10月くらいまで多く確認されています。

工場では、24時間空調などで温度や湿度を一定にしていたため、冬場でもチャタテムシが活動できたとみられています。調査を行った工場では、長期間にわたって置かれていた段ボールにカビが発生したことが原因でチャタテムシの大量発生に繋がっていました。

また、北陸のように雨が多いと湿度が高い状態が続くため、カビが発生しやすくなります。すると、エアコンの中でカビが発生し、チャタテムシの繁殖に繋がると谷内業務部長は話します。

北陸環境衛生 谷内政樹業務部長「湿度の高い空気が熱交換の中を通る際に冷やされ、除湿された空気が吐き出されます。その際、除湿で取り除かれた水分によってエアコンの排水を受けるドレンパンと呼ばれる受け皿にカビを発生させます。そのカビを食べて繁殖したチャタテムシが部屋の中の別の場所でも確認されるということが起こります」

翅(はね)のあるチャタテムシ(提供:北陸環境衛生)

2025年はチャタテムシの発生が例年よりも少し多く感じられたと話す谷内業務部長。地球温暖化が問題となる中、今後もチャタテムシは季節を問わず発生するかもしれません。